「認知症」コロナ禍で悪化も 家に閉じこもり、生活パターン変化
2020/12/03 09:40
「うえき老年メンタル・認知症クリニック」の植木昭紀院長=西宮市甲子園七番町
新型コロナウイルスの感染拡大で、移動や外出など「我慢」の生活が続き、認知症高齢者への影響が懸念されている。兵庫県西宮市の認知症専門医によると、春の感染第1波の頃は、家に閉じこもるあまり認知機能の低下など、症状が悪化した患者が複数いたという。第3波を迎え、専門医は「できる限り生活のパターンを変えず、規則正しい生活の維持を心掛けて」と呼び掛ける。(中島摩子)
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■「規則正しく過ごし、体を動かして」
日本認知症学会や日本老年精神医学会などの専門医として診療に当たる「うえき老年メンタル・認知症クリニック」の植木昭紀院長(61)=西宮市=が取材に応じ、「クリニック患者の2~3割の症状が悪化した」と明かした。落ち着きがなくなって混乱したり、昼夜逆転したり、筋力が衰えて歩行困難になったりした例もあったという。
公民館の休館や交流活動の中止なども影響。また、高齢者向け施設内でも外出や家族との面会が制限されたために、不安感が募り、乱暴な行動をした人がいたという。介護サービスの利用を控えた結果、「介護する家族がしんどくなってしまったケースもあった」という。
植木院長は「閉じこもって、変化がなくなり、曜日などを意識しなくなるのは良くない」とし、「1日に1時間ほどでも、太陽に当たりながら散歩してほしい。家の中でラジオ体操でもいい。とにかく体を動かして」と話す。
さらに、昼夜逆転した患者の例などから「睡眠、食事など、規則正しい生活リズムを維持することが大事」とし、「介護サービスの利用など生活パターンはできる限り変えないで」と注意を促す。
また、人とふれあう時間が減って孤独を感じることもあるため、家族には「離れて暮らしていても、電話などでコミュニケーションをとり、いつも以上にたっぷり話を聞いてあげて」とアドバイスした。