iPS細胞移植、目の新たな臨床研究開始へ 神戸
2021/01/20 21:40
神戸市立神戸アイセンター病院=神戸市中央区港島南町2
 神戸市立神戸アイセンター病院(同市中央区)は20日、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った網膜色素上皮細胞を移植し、目の病気を治療する臨床研究を始めると発表した。今春以降、同細胞の異常が原因で起きる病気の患者50人に移植を始める方針。
          
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 厚生労働省の専門部会が20日、了承した。これまでの研究では、滲出型加齢黄斑変性という一つの病気を対象に少数の患者に移植し、安全性を確認してきた。
 今回は、光に反応する視細胞を保護する網膜色素上皮細胞が変性したり、機能低下したりすることで、目が見えにくくなる病気全般を対象とする。幅広い患者に増やし、治療の有効性と安全性を確認する。
 移植では、同細胞を含む液体を患者の網膜の下に注入し、その後、主に同細胞の状態を1年間観察する。参加人数も比較的多い50人を目標とし、同病院に通う患者から選ぶ予定。同院以外の施設でも実施するという。
 同病院の栗本康夫院長は「対象の疾患を広げ、治療法のない病気の患者に適した治療を探す。その効果が高い人を見つけ、治療を実用化できれば」と述べた。(井川朋宏)