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ランナーのゼッケンに取り付けられたICタグ=大阪府枚方市、淀川河川公園
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ランナーのゼッケンに取り付けられたICタグ=大阪府枚方市、淀川河川公園
大量のICタグ。従業員が大会前、手作業で取り付ける=小野市浄谷町、チョッパー(撮影・辰巳直之)
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大量のICタグ。従業員が大会前、手作業で取り付ける=小野市浄谷町、チョッパー(撮影・辰巳直之)

 マラソン大会などで何千人、何万人ものランナーの記録を自動で計測するICタグ。全国に約30社あるという計測業者のうち、兵庫県内は小野市に3社、加古川市に2社で、播磨地区は西日本随一の集積地だ。駅伝などで数々の実績を誇る“陸上王国”。計測業者には陸上経験者が多く「走る楽しさを裏側から支えたい」と大会運営や技術開発に日々取り組んでいる。(津田和納)

 ICタグは数センチ四方の機器。名前や性別、年齢などランナー一人一人の情報を中のチップに登録する。ゼッケンや靴などに付けて走り、スタートやゴールなどに敷いたマットを通過すれば、順位や記録を自動で計測する。

 ランナー向け最大手サイト「ランネット」の登録大会は2016年に全国で約2460大会あり、日本陸上競技連盟によるとICタグは千人超のほぼ全大会で導入済みという。

 計測業者はランナー情報の登録や計測システム開発、管理などを担う。小野市の「チョッパー」は1995年、海外製のICチップを使って計測を始めた先駆者だ。青木実雄社長(59)は駅伝の名門、西脇工高陸上部の出身。「正確な記録をすぐ知りたいというランナーの望みに応えたい」と92年に創業した。

 同社から、さらに2社が同市で独立。06年に「アスレック」を設立した田中健智(かつとし)代表(46)も陸上競技経験者で「魅力的な大会をつくって陸上好きを増やしたい」と大会の企画から携わる。加古川市の「ファインシステム」は元来、歯科技工所向けのシステム開発・販売会社。大会運営最大手「アールビーズ」(東京)と技術提携し、90年代から記録を計測する。

 両市の業者で全国の約700大会、県内で4割前後の約130大会を担当。運営側を身近で支える強みもあり、「神戸市少年団駅伝大会」の事務局は「コース変更に対応するため、アスレックの代表自ら現地入りし、競技場と調整してくれた」。ファインシステムが担う「加古川マラソン」(加古川市)の実行委員会も「大会前に草刈りもしてくれる。心強い」と話す。

 チップの低価格化で近年、関東を中心に新規参入が増加。一方で地方の大会では参加者集めが一苦労で「マラソンブームのピークは過ぎた」と青木社長はいう。11年に軽量で回収不要の使い捨てタグを日本で初開発。「運営側の負担を減らし、息の長い大会づくりに協力していかないと」と競争激化に備える。

【軽量、安価 精度武器に】

 ICタグが全国のマラソン大会で使われるようになったのは1990年代後半。以前はストップウオッチでタイムを測り、順位確認も目視やビデオ録画頼みだった。ランナー数人がゴールになだれ込むなどして「順位を間違えて発表するケースもあった」と西区ロードレース(神戸市)の運営担当者。ICタグは正確性を飛躍的に向上させた。

 東京マラソンや神戸マラソンなどの大規模大会でも、順位や通過の確認などが容易に。スタート位置が後方のランナーが増えても、スタートラインを越えた瞬間から測るタイムを個々に提供できる。

 ICタグを応用したアプリもある。「応援ナビ」は各ランナーの5キロごとの通過を表示し、現在地も予想。56歳の父が海外大会も走っているという溝渕絢子さん(26)=神戸市灘区=は「心配している家族にはすごく助かる」。ゲストランナーの位置を探し出し、応援や伴走をして楽しむ人も多いという。

 一方で、マラソン歴30年の男性(56)=同区=は「靴ひもに通すタイプは走ると気になる。タイムは自分の時計で測れる」と話す。ゼッケンに付けるタグもあるが、未回収時に運営側が業者に払う補償費が靴用よりも高額で新規大会での普及は不十分だ。計測業務大手「レックス」(東京)の福本純平さん(33)は「IT技術は日進月歩。軽量で安いタグや、さらなる活用法も考えていきたい」と話す。

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