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稲の苗の発芽状況を見て回るJA兵庫西の職員=宍粟市山崎町
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稲の苗の発芽状況を見て回るJA兵庫西の職員=宍粟市山崎町

 稲、麦、大豆の種子の生産・普及を都道府県に義務づける「主要農作物種子法(種子法)」の廃止法が今国会で成立した。国が進める農業競争力強化に向けた規制緩和の一環だが、兵庫県内の農家など現場からは不安の声が上がっている。国は民間企業の種子ビジネスへの参入を促すとするが、都道府県が予算の根拠とする法律がなくなることで地域の種子の品質向上や安定供給のシステムが崩れかねないとの懸念が広がる。(辻本一好)

 廃止法は、昨年9月に政府の規制改革推進会議で課題として提起された後、都道府県や農家への説明なしに、唐突に示された。兵庫県農産園芸課は「寝耳に水。後の仕組みを決めずに廃止するやり方はこれまでにはないこと」と戸惑いを隠せない。

 稲、麦、大豆は、種子法に基づいて都道府県が供給や審査で大きな役割を担ってきた。気象など地域特性に合った「奨励品種」を決め、農家に供給する高品質の種子を採取する原原種や原種の農場を定めて生産する仕組みをつくってきた。

 兵庫では、稲は八つの種子組合が生産を担う。その一つ、JA兵庫西しそう種子生産組合(宍粟市)は、キヌヒカリなど10品種の稲と麦を約100ヘクタールで栽培する。他品種などが混ざらないための抜き取りなど管理を徹底。品種の純度と品質への信頼性が高い同組合産の種子は、ほかの約20県にも供給されている。

 事務局を担当する同JAしそう営農生活センターの山下久和係長は「日本米のブランド力を高めようというときに、その基礎となる優れたシステムをなぜ崩そうとするのか分からない」と表情を曇らせる。

 廃止法は14日に成立。従来通り国の予算措置などを求める付帯決議が採択されたが、種子の海外流出など多くの懸念が関係者から指摘されている。

 種子ビジネスに詳しい京都大大学院の久野秀二教授は「種子は地域で受け継いできたいわば『公共財』であり国家戦略の要。それを種子を巧みに囲い込む外資のビジネスの世界に放り込んで、農家が種が自由に使えなくなることはないのか。考えるべき課題は多い」としている。

【主要農作物種子法】 優良な種子の生産や普及を促進するため1952年に制定された。対象は稲、麦、大豆で、野菜や花などは含まれない。都道府県は、同法を根拠に農業試験場の運営などに必要な予算を手当てしている。86年の規制緩和で民間企業が開発した種子も一部で使われている。廃止法の施行日は2018年4月1日。

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