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4月から開設された「丹波篠山農産物相談・研究センター農業相談室」=篠山市八上上
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4月から開設された「丹波篠山農産物相談・研究センター農業相談室」=篠山市八上上

 農業の最前線で農家と地域を支援する農業改良普及事業の縮小が続いている。兵庫県ではこの10年で人員を3割削減。拠点の13農業改良普及センターを補完してきた9地域普及所を3月末で廃止した。現場では人員減に伴う悩みを抱えながら、流通や消費対策を含めた地産地消に活動の重点を置くなど模索を続ける。(辻本一好)

 JA丹波ささやま営農経済部(篠山市)の一室に4月設けられた「丹波篠山農産物相談・研究センター農業相談室」。篠山地域普及所の廃止に伴い、市などの強い要望を受けて代替機関として県、市、JAと市農業委員会とで開設された。

 農作物の病気など相談のうち一般的なものはJAが対応。より専門的なものは普及センター、県の専門機関が応じるとする。しかし対応力低下は否めない。

 従来は隣の丹波市にある県丹波農業改良普及センターの普及員が交代で月、水、金曜の午前に詰め、午後は篠山市内を回っていたが、相談室移行後は元普及員の中西敬司さん(68)が午前中のみ窓口相談を行っている。「例えば、金曜午前に病気の相談を受けても、普及員が現場で確認するのは週明けとならざるを得ない」(中西さん)。

 窓口の名称に「研究」を入れたのは、黒大豆やヤマノイモなど多くの特産物を抱える篠山で、栽培技術や流通の課題を解決する体制を維持したい地域の思いがある。同JA営農指導課の上山裕之課長は「特産物が多い篠山の普及センターがなぜなくなったのかという感情が地元の農業関係者にはある」と話す。

     ◇

 普及事業の縮小は、国の行革に伴う交付金の削減が主因だ。兵庫県への交付金は年々減り、2015年度で10年前の1割以下の4300万円に削減された。

 県は09年4月、普及センターを22から13に減らした。県農林水産技術総合センターを加えた現在の14という普及センター数は、農林水産省によると、北海道、福島県、新潟県と並んで全国で最も多く、維持に努めてきた。

 だが、普及員数179人は、福岡県(243人)や鹿児島県(222人)などに比べても少なく、1人当たりの負担が増し続けているのが現状だ。採用抑制に伴う高齢化も大きな課題で「50代が半数を超える一方、20、30代が非常に少ない」(兵庫県農業改良課)。

 センターの人員が年々減った影響で、畜産担当が足りず別分野の専門職員が畜産を学び直して担当するようなケースも増えている。

     ◇

 普及員はそもそも技術と経営指導の専門家であるとともに、集落営農の組織化や新規就農者の育成など地域農業のコーディネート役も担っている。体制が縮小する中、普及事業の在り方を見直す試みも進めている。その一つが12年度からの「提案型普及指導活動」。各普及センターが中心となって地域と一緒に「農」の将来像を描き具体化を図る。「普及員が個々に農家の相談に応じて課題を解決する黒子のようなやり方では、人員が減る中では現状維持も厳しい」(同県農業改良課)。

 「地域内流通による中播磨野菜ビジネスの創造」(姫路普及センター)、「販売需要開拓による干拓地野菜の復活」(龍野普及センター)など、従来苦手としてきた農業の“出口”部分である流通や消費まで踏み込んだのが特長だ。

 「地産地消」という兵庫の課題を解決する上で欠かせない普及事業をどう再構築していくのか。兵庫の多様な農業地域と地元産を求める大消費地の住民・企業とを結ぶ「農と食」のデザイン力が問われている。

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