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 「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織犯罪処罰法が11日、施行された。277に及ぶ対象犯罪には、会社法や金融商品取引法といったビジネス関連の法律も含まれている。違法性を認識し、準備行為を行えば摘発が可能とされ、一部では「多様な検討を行う企業活動の萎縮につながる」と懸念の声が上がる。専門家間でも影響への見解は分かれており、今後の運用が注目されている。(横田良平)

 企業法務に詳しい東京の弁護士7人でつくる「ビジネスロイヤーの会」は、共謀罪への反対声明を発表した。一般企業であれば「組織的犯罪集団」にあたらないとの政府説明に対し、集団の定義が曖昧なため「一般の会社や自営業者も含まれる」と指摘する。

 同会は、特許権侵害を例に挙げる。ある企業が新商品を検討する社内会議を開いた。一つのアイデアが卓越していたため、担当者は過去に特許権が発生していたのを知りつつ、一度は類似商品を開発しようと計画。だがその後翻意し、計画を中止した。従来なら中止すれば処罰されないケースだが、共謀罪では計画に基づき発注書などを作っていれば「準備行為」にあたり、処罰も可能-と同会は指摘する。

 さらに、企業に助言する弁護士や会計士、税理士らも「犯罪計画への関与」を疑われる恐れがあると警鐘を鳴らす。同会の武井由起子弁護士は「準備行為の定義が不明確。税務関連では、脱税が疑われる税務申告書の原案を作成しただけでアウトと判断されかねない」と訴える。

 一方で、企業法務に詳しく、衆院法務委員会で参考人として意見を述べた木村圭二郎弁護士は「通常の企業活動へのリスクはない」と断言する。「適用対象は犯罪遂行を目的とする団体に限定される。特許権侵害の例では、侵害計画がなければ組織の意味がないといった企業でない限り、嫌疑は生じない」と強調する。

 企業の多くは静観している。兵庫県内のある上場企業は「普段から情報公開やコンプライアンスの徹底が求められており、監査もある。改正法で何かが変わることはない」とする。別の上場企業は「税金対策には今でも国税局の目が入っている。(摘発の)具体例が出ないと動きようがない」と様子見の構えだ。

 「まずは暴力団関係の摘発などで実績を積み、徐々に企業も対象とするのでは」と指摘するのは、兵庫県弁護士会で共謀罪問題検討プロジェクトチーム座長を務める吉田維一(ただいち)弁護士。「新しいモノは自由な議論から生まれる。企業が萎縮して開発や競争をやめれば、社会の創造性が失われてしまう」と同罪の弊害を説く。

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