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完成した木桶と稲岡敬之さん=加西市三口町、富久錦
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完成した木桶と稲岡敬之さん=加西市三口町、富久錦
木桶に使う木の合わさる部分に文字を書き入れる稲岡敬之さん=加西市三口町、富久錦
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木桶に使う木の合わさる部分に文字を書き入れる稲岡敬之さん=加西市三口町、富久錦

 純米酒のみを醸す蔵元として知られる富久錦(加西市)が、戦前以来の木桶による酒づくりを復活させる。今の日本酒の醸造技術を確立させた江戸時代の蔵人たちに近い環境下で、その技と酒づくりのメカニズムの原型に迫りたいという。稲岡敬之社長は「糖度やアルコールの分析技術もなかった時代に、微生物を見事にコントロールしていた先人の英知に挑みたい」と意欲を燃やしている。

 戦前まで酒づくりに活用されていた大型の木桶は戦後、工程管理しやすいほうろうなどの容器に取って代わられ、今ではほとんど使われなくなっている。

 同社は近年、江戸時代からの伝統的な酒造技術である「生酛造り」に転換している。酒蔵に生息する乳酸菌の力で発酵を進める生酛造りは、手間と高い技術力が求められるが、個性的な酒づくりの技術として挑戦する蔵が増えている。「生酛は難しいが、やるほどに面白さを教えてくれる。日本酒の原点を知り、昔の蔵人の域に近づくには木桶も必要と感じた」

 稲岡社長は2018年の創業180年目に合わせ、同社の酒蔵に残っていた木桶8本の再利用を思い立ち、2年前に堺市の木桶製造業者に依頼。解体した木桶から良好な木を選んで高さ約2メートル、直径1・7メートル、容量3千リットルの桶を2本完成させた。「大正時代のもので、スギの非常に良い部分が使われていたので、業者からはご先祖に感謝してくださいよと言われました」と笑う。

 組み上げる前に、木には自身を含めた蔵人5人の名前や日付とともに「先人の英知に挑む」と書き入れた。今シーズンは3回程度仕込み、春に新酒ができる予定だ。「ほうろうと違い温度管理などが難しいが、木桶で生酛のお酒をつくり、奥深さと新たな可能性を持つ日本酒の魅力を示したい」と稲岡社長は話している。(辻本一好)

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