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AIを使った新システムのサービス改善について話し合う神戸デジタル・ラボの開発担当者ら=神戸市中央区京町
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AIを使った新システムのサービス改善について話し合う神戸デジタル・ラボの開発担当者ら=神戸市中央区京町

 人工知能(AI)技術を使った新商品・サービスを投入する動きが、兵庫などの関西企業でも拡大している。コンピューターが自ら理解を深めていく「ディープラーニング(深層学習)」という機能で、ヒト・モノの動きや個人の好みなどを識別・分析し、消費者に最適なサービスを提供するのが特長。人材採用の現場にもAIが登場するなど利用が広がっている。(高見雄樹、横田良平、塩津あかね、井上太郎)

 業務用音響機器大手のTOA(神戸市中央区)は、防犯・監視カメラの画像認識技術を高めるためにAIを活用する。例えば、有人か無人かを映像で感知する場合、棚に置いたヘルメットや手袋など、人に似たものにも間違えて反応してしまう。AIで繰り返し学習させることで、人を見分ける精度が上がるという。

 阪急阪神ホールディングス(大阪市)も、画像認識技術とAIを組み合わせた新システムの共同開発に乗り出した。

 鉄道の運行管理を手掛ける傘下のアイテック阪急阪神(同)と、ITベンチャーのモルフォ(東京)が、製造現場で不良品を識別するためのシステムを作る。深層学習ならではの高い精度に加え、人手不足を背景に「ニーズは相当高い」と担当者。システム化の時期は未定だが、部品の種類が多岐にわたる機械系メーカーなどに供給するという。

 一般消費財では、川崎重工業(同)がAIを搭載した二輪車の開発を明石工場(兵庫県明石市)で進める。乗り手の言葉や加減速の具合から感情や癖を把握し、車体を乗り手の好みに合わせていく。数年後に試作車を完成させる計画だ。

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 AIは企業の新卒採用にも使われる。支援会社のi-plug(アイプラグ、大阪市)は、企業と学生を橋渡しするサイト「オファー・ボックス」を運営。サイトには来春卒業予定の6万4千人が自己PR用の文章や写真、動画などを登録している。企業は膨大な資料に目を通す必要があるが、AIを活用して意中の学生を効率的に絞り込む。

 具体的には、企業側から学生に面会を申し入れた履歴と、学生がそれに応じたデータをAIに学習させ、「相思相愛になりやすい学生」を上位から並べて企業に提示する。これまで学生1人を絞り込むのに8人分の資料を見ていたが、AI導入後は4人分で済み、来年には3人分へと精度を高めるという。中野智哉社長(38)=たつの市出身=は「AIに人材採用を委ねる企業の抵抗感はあるが、時間と手間を省けると評価されている」と話す。

 あなたがほしいのは、こんな情報では-。システム開発の神戸デジタル・ラボ(神戸市中央区)は、独自のAI技術で顧客の興味、関心から属性を導き、個々に合ったサービスを提供する新システムを開発した。

 消費者の購買やサイト閲覧の履歴、アンケートの回答内容、居住地や家族構成などの生活環境も含めた複数のデータを分析。最適な接客方法を自動的に割り出し、興味を引きそうな生活情報などを提供する。

 服飾会社のメールマガジン会員にシステムの効果を検証すると、AIの分析結果を基に配信したメルマガは、従来の一斉配信と比べた平均閲覧回数が1・8倍に増えた。システムの営業担当、佐々木幸一さん(43)は「直接的に集客や購買を増やすツールではないが、顧客満足度を高めるのに有用」と話す。

 先端的なIT人材養成を りそな総合研究所の荒木秀之・主席研究員

 産業界で活用が広がるAIだが、関西ではそれを使いこなせる先端的なIT人材が不足している。必要な人材がそろわないと、製品の開発が遅れるのはもちろん、普及にも影響する恐れがあり、使い手の養成は急務だ。大学のカリキュラム充実や社会人による学び直しの受け皿づくり、民間企業の育成機関設立などが考えられる。

 特に、電機メーカーが集まる関西では、企業主導型の育成が実現する素地がある。仮に大学を創設するのであれば、グラウンド整備などの規制が障害となりそうで、それらを緩和する「AI大学特区」のような提案も視野に入れる必要がある。(談)

(まとめ・井垣和子)

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