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獣害対策に地理情報システム活用 情報一元化へ 兵庫県

2018.04.09
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神戸新聞NEXT

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カメラやセンサーを搭載した野生動物捕獲用のおり(兵庫県提供)

カメラやセンサーを搭載した野生動物捕獲用のおり(兵庫県提供)

 兵庫県は2018年度、地理情報システム(GIS)を活用した農産物の獣害対策に乗り出す。これまで各市町が個別に管理していた捕獲の場所や日時、わなの設置状況などを新システムで一元管理。ハンターや食肉加工業者らも地図上で情報を共有できるようにし、効果的な対策や迅速な食肉処理につなげる。(山路 進)

 新システムは、シカやイノシシなどによる農地などの被害状況をはじめ、捕獲の地点や頭数、わなの設置などを地図上に掲載する。自治体の担当者やハンター、食肉加工業者らにもシステムを開放。被害が多発した場合にわなを増やしたり、食肉加工場の稼働率を高めたりして、被害対策の強化と食肉流通の円滑化を図る。約4200万円を充てて18年度中にシステムを構築し、19年度からの運用を目指す。

 県はこれまで有害獣の駆除を強化するため、ハンターへの報償制度を創設し、狩猟免許を取得する農家を支援してきた。この結果、00年度以前の捕獲数は、シカ、イノシシとも1万頭に満たなかったが、16年度にはシカ約4万3700頭、イノシシ約1万9600頭に増加した。

 それでも、有害獣による農業被害額は高止まりしている。中山間地域の人口減や里山の放置などで、餌を確保しにくくなった野生動物が、人を警戒せずに農産物を食い荒らすため。県によると、16年度の被害額は約4億6100万円と、ピーク時の10年度(約8億9800万円)に比べてほぼ半減したが、新システムで被害対策を強化することにした。

 県鳥獣対策課は「情報を共有することで、広域的に効率的な対策が可能になる。野生動物との共生のあり方も考えたい」としている。

■害獣捕獲に専門チーム、遠隔操作の檻(おり)貸与も

 兵庫県は2018年度、有害鳥獣を捕獲する専門家チームを設ける。ハンターの高齢化に対応するためで、ベテランの狩猟者らを公募する。

 チームは1班10人程度で組織し、全県域で捕獲を担う。現在、市町ごとに編成する猟友会などのメンバーが捕獲するが、高齢化などで要員確保が課題だった。

 チームには、インターネットで遠隔操作できる大型のおり10基を貸し出す。熱センサーやカメラを搭載し、群れで行動するシカがおりに入ったのを確認して、一度に複数頭を捕獲できる。県は本年度当初予算に約3400万円を計上。

 県は毎年度、獣害の抑止と生態系維持のバランスから捕獲目標を設定。30年度はシカ4万6千頭、イノシシ2万頭を掲げる。だが、シカの目標頭数を下回る市町が半数近くに上るという。県鳥獣対策課は「安定した捕獲を続けなければ、数年後に繁殖で一気に増えかねない。対策が不十分な地域で捕獲を進めたい」としている。