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小規模M&A 年5社成約 神戸の北林さん奮闘

2018.05.14
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ウェブサイトでM&A案件を募るミツキタアドバイザリーの北林光明社長=神戸市中央区浜辺通4、三宮ベンチャービル

ウェブサイトでM&A案件を募るミツキタアドバイザリーの北林光明社長=神戸市中央区浜辺通4、三宮ベンチャービル

 中小企業の合併・買収(M&A)への助言、仲介を専業にするミツキタアドバイザリー(神戸市中央区)が、2017年度に兵庫県内を含めて5社の成約にこぎ着けるなど、実績を上げ始めた。後継者不足に悩む中小企業の廃業を防ぐ手段として、M&Aが全国的に注目されている。同社は小規模案件を中心に手掛け、「神戸を拠点に円満な事業の引き継ぎを支えたい」とする。(内田尚典)

 日本政策金融公庫の調査によると、国内の中小企業の50%が将来の廃業を予定し、うち28・5%が後継者難を理由に挙げる。地域経済にとって、雇用、技術、取引の維持が大きな課題となっている。

 ミツキタアドバイザリーは2014年創業。大手タイヤメーカーに勤めていた北林光明社長(39)が、経理やM&A業務に携わった経験を生かそうと起業し、事業承継の支援を始めた。

 扱うM&Aは、従業員数人の企業で売買金額が数百万~数千万円の小規模案件が多い。17年度に成約した5社のうち4社は顧客同士の売買。残る1社は売却希望で、同業者の紹介により買い手が見つかった。

 北林さんが起業したきっかけは、タイヤメーカー時代に中小ゴム会社の廃業を見聞きしたことだった。「M&Aなら事業を続けられるのに」と考えた。

 最初の半年は「開店休業状態」。事業拡大や人手不足の解消のため買収を希望する企業からは依頼がすぐにきたが、売る方は慎重だった。「会社を手放すのは一世一代の決断。買収されるのを快く思わない経営者が今なお多い」と痛感した。

 売却の希望案件を開拓するため、入り口となるウェブサイトでM&Aの意義や交渉の進め方の説明に力を入れた。相談を受けると、大量の伝票をパソコンでデータ入力するなど、企業情報をまとめる作業も担った。

 現在は、売る側と買う側を合わせて月10件のペースで相談がある。業種は介護、製造業、商社、英会話学校などさまざま。交渉では、転居を望まない現場従業員への配慮も含め数カ月かけて、条件をすり合わせる。

 仲介業者の養成講座を手掛ける日本M&Aアドバイザー協会(東京)によると、同協会の認定事業者は東京や大阪を中心に約120社ある。兵庫は北林さんら3事業者という。

 同協会の大原達朗代表理事会長は「社長が自ら現場を切り盛りするような小規模企業ほど、きめ細かなサービスが必要」と指摘。「身近に相談できて、情報量も増やせるように、数年で全国の会員を500社以上にしたい」としている。