ひょうご経済プラスTOP 経済 酒米10年ぶりに新品種 兵庫県が「山田錦」改良

経済

酒米10年ぶりに新品種 兵庫県が「山田錦」改良

2018.05.29
  • 印刷
酒米新品種「Hyogo Sake 85」の開発に携わった杉本琢真主任研究員と6月1日発売の三つの純米酒=兵庫県庁

酒米新品種「Hyogo Sake 85」の開発に携わった杉本琢真主任研究員と6月1日発売の三つの純米酒=兵庫県庁

 兵庫県は、10年ぶりに酒米の新品種を開発した。山田錦を改良して、台風シーズン前に収穫できる県北部向けの極わせ種とした。新しい酒米で醸造すると、香りが高く、すっきりした味わいに仕上がるという。但馬、丹波にある三つの蔵元がこの酒米で造った純米酒3種を6月1日に発売する。(山路 進)

 兵庫県は酒米の作付面積と、開発・管理する品種が「山田錦」を含めて20を数え、都道府県別でトップ。新しい品種は、2008年に中・西播磨地域向けに開発した「兵庫錦」以来で、21品種目となる。

 1986年から県酒米試験地(加東市)で開発してきた。山田錦の花粉を、単位面積当たりの収穫量が多い韓国産の食用米「水原258号」に授粉。交配を繰り返し、背丈やコメ質が安定するまでに18年かかったという。

 品質を安定させた後、但馬、丹波の両地域に適した栽培法を研究した。県内の他地域に比べて早めに寒冷となることを考慮。5月中旬に田植えをし、103日後の8月下旬に収穫する極わせ種とした。

 稲穂が熟す7月下旬から8月中旬ごろの高温でコメ質が悪くなる「白未熟粒」を抑え、カビが寄生するいもち病にも強い特長を持つ。強風などでも倒れにくく、育てやすいという。

 県は、酒類総合研究所(広島県東広島市)に成分分析などを依頼。コメの中心部で、こうじ菌が繁殖し活性化する「心白」が、山田錦や兵庫北錦、五百万石よりも大きく、精米で6割程度を残してもキレの良い清酒ができるとの評価を得た。品種名は、主食用・飼料用米を含めた県の開発番号と、国内初のローマ字表記で「Hyogo Sake 85(ひょうごさけ エイティーファイブ)」とし、昨年11月に品種登録を申請した。

 同試験地の杉本琢真主任研究員(44)は「収穫量の安定に向けて栽培法の研究をさらに進め、山田錦と並ぶ良い酒米としてPRしたい」と話している。

■新酒米使用の純米酒 3銘柄、1日に発売

 新しい酒米「Hyogo Sake 85」で仕込んだ純米酒が、6月1日に発売される。いずれも国外での清酒人気を踏まえ、ローマ字表記の品種名を銘柄名に冠した。兵庫県は8月上旬、香港でのイベントに出品予定で、新品種による県産の清酒を海外で売り込む。

 香住鶴(兵庫県香美町)の「Hyogo Sake 85(兵庫酒85)」=精米歩合63%▽此の友酒造(朝来市)の「兵庫酒八十五(Hyogo Sake 85)」=同65%▽山名酒造(丹波市)の「HYOGO SAKE No.85」=同60%-の3銘柄。

 新たな酒米は、2017年に丹波市と同県香美町の水田計1・3ヘクタールで試験栽培。収穫した計約4・6トンを各蔵元で醸造し、このほど純米酒が完成した。県酒米試験地の杉本主任研究員は「穏やかな香りで、すっきりとした喉ごしが良い。海外で好まれる食中酒にも向くはず」と話す。

 連絡先、販売価格(いずれも720ミリリットル、1・8リットルの順)は次の通り。

 香住鶴TEL0796・36・0029(1944円、3078円)▽此の友酒造TEL079・676・3035(1700円、2980円)▽山名酒造TEL0795・85・0015(1728円、3456円)