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コメの無農薬栽培広がる 新栽培法が後押し 但馬

2018.06.12
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神戸新聞NEXT

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専用の田植機を操り、ポット苗(手前)を植える本田忠寛さん=豊岡市但東町赤花

専用の田植機を操り、ポット苗(手前)を植える本田忠寛さん=豊岡市但東町赤花

ポット苗は根も含めて育苗した状態のまま植えるため、根付きが早い(豊岡市提供)

ポット苗は根も含めて育苗した状態のまま植えるため、根付きが早い(豊岡市提供)

 コウノトリとの共生を目指し、農薬の使用を極力抑える「コウノトリ育む農法」に取り組む兵庫県の但馬3市2町で、無農薬栽培が急速に広がっている。豊岡市の肝いりで始まった新たな栽培方法に取り組む農家が増えているためで、2017年の作付面積は約173ヘクタールと12年の約2・6倍。従来法よりも雑草を抑え、収穫量も食味も優れているといい、市も補助制度を整備して導入を後押ししている。(山路 進)

 新しい栽培方法は、苗を通常の倍の約15センチまで育ててから田植えをすることで、数日後には雑草の繁茂しにくい深さの水を張れる。使う苗は「ポット苗」と呼ばれ、専用トレーで育苗。専用の田植え機と除草機も必要になる。

 豊岡市は、栃木県の農家が取り組むこの手法に着目。専用農機具を製造する「みのる産業」(岡山県赤磐市)と13年に協定を締結し、14~16年に市内の農家5戸で実証試験を行った。結果、雑草は少なく、10アール当たりの収穫量は従来の約1・2倍で味の指標「食味値」も高かった。

 同市は導入拡大に向けて15~17年、ポット苗を育てて農家に供給する同市内の農業法人の栽培施設整備を支援。同時に希望農家16戸に専用農具を貸し出し、新栽培法に取り組むチャレンジ事業を実施した。

 同事業に手を挙げた同市但東町赤花の本田重美さん(74)は「収穫量も味も問題ないことを実感できた」と振り返り、今年も長男の忠寛さん(49)とポット苗での田植えに汗を流した。数年前まで従来の農機具で無農薬に取り組んでいたが、多くの雑草に悩まされていたという。3輪の専用田植え機での作業は「通常の1・5倍のスピード。作業も楽になった」と喜ぶ。

 17年には同地区の農家16戸で「赤花そばの郷農事組合法人」を組織。市から3分の2の補助を受け、1台約150万円する専用の田植え機と除草機を購入した。今年から全組合員の水田計約3・7ヘクタールで、無農薬での育む農法に切り替えた。

 法人代表も務める本田さんは「雑草対策がうまくいけば、販売単価が高い無農薬は魅力。農地を次の世代に引き継ぐためにも、より効率よく、誰もが続けられる農業の形に育てていきたい」と力を込めた。

 育む農法は、05年のコウノトリ試験放鳥開始の2年前に始まった。田に張る水の深さを調節して微生物や益虫の働きで雑草の繁茂や稲の病気を抑え、コウノトリの餌となる生物が集まるようにする。付加価値が高く、減農薬米は市場価格の約1・3倍、無農薬米は約1・5倍で売れる。だが無農薬は収穫量が少なく除草に手間がかかるため、作付面積が伸び悩んでいた。

 同市は昨年度に専用農機具の購入補助制度を開始。昨年度は5戸、今年度も8戸前後が導入する予定という。同市農林水産課の山本大紀係長(44)は「無農薬は当初からの目指すべき姿。ブランドとして生き残るためにもさらなる拡大を期待したい」と話した。