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静かで消臭、近未来的… 進化するごみ収集車

2018.07.28
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国際的なデザイン賞で高い評価を受けたモリタエコノスの「プレスマスター」(モリタホールディングス提供)

国際的なデザイン賞で高い評価を受けたモリタエコノスの「プレスマスター」(モリタホールディングス提供)

丸みを帯びた外観が目を引く極東開発工業の「プレスパック」=三木市別所町巴

丸みを帯びた外観が目を引く極東開発工業の「プレスパック」=三木市別所町巴

 「3K」(きつい、汚い、危険)とのイメージ払拭(ふっしょく)に向け、ごみ収集車が“進化”している。静粛性や消臭といった作業環境改善のほか、洗練されたデザインで国際的な賞に輝くなど、兵庫県内のメーカー3社が工夫を凝らしている。(大島光貴)

 2016年に登場し評判になったのがモリタエコノス(三田市)の収集車「プレスマスター」。車体側面に凹凸のある斜めのラインが施され、後部のごみ投入口はまるで戦隊シリーズに出てくる装甲車のよう。ネット上で「近未来的」「かっこいい」「SFごみ収集車」と話題になった。

 キャッチコピーは「洗練された機能美こそ美しい」。「作業中」の表示器やランプ類を上部に配置し視認性を高めた。実用性を兼ね備えたデザインは国際的にも評価され、デザイン界のオスカー賞と言われるドイツ「iFデザイン賞」に、収集車として初めて輝いた。

 一方、極東開発工業(西宮市)が17年に発売した「プレスパック」は、曲面を多用した愛らしい外観。深夜早朝のごみ回収を想定し、耳障りな機械音や油圧の切り替わる音を低減した。同社は「きれいなデザインと作業環境の向上は不可欠」とする。

 新明和工業(宝塚市)は他社と、生ごみの臭いを一瞬でフルーティーな香りに変える収集車用の臭気対策剤を17年に共同開発した。専用装置により、ごみの積み込みに連動し自動で噴霧する。

 各社が取り組む背景には収集作業の人手不足がある。極東開発工業はテーマパークのイベントで収集車を展示して子どもに「働く車」をアピール。求人対象の広がりを期待する。

 国内外の交通事情に詳しいモビリティジャーナリストの森口将之さん(55)=東京=は「ここまでこだわった収集車は世界的にも珍しい。街中で作業する収集車を景観の一部と捉えたり、形や臭いに配慮したりすることで作業者の誇りを高め、担い手確保につなげる狙いがあるのでは」と話す。

◇3社で国内シェア9割超

 ごみ収集車の新車登録台数は年間約5千台とされる。メーカー各社によると、国内シェアは新明和工業(宝塚市)が約60%、極東開発工業(西宮市)が約25%、モリタエコノス(三田市)が約15%と、兵庫県内3社で9割以上を占める。

 新明和工業は2013年、ライバルだった富士重工業(現SUBARU)からごみ収集車事業を譲渡され、断トツの首位になった。極東開発工業は新明和工業の前身「新明和興業」の関東地区の販売部門が1955年に独立。モリタエコノスは消防車製造で名高いモリタホールディングスの子会社だ。

 3社とも収集車の製造を始めたのは60年ごろ。64年東京五輪を契機に、手作業だったごみ収集が機械化され、普及が進んだという。