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企業の水害リスク想定、地震の3分の1 BCP見直し急務

2018.08.05
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工場のシャッターに止水シートを張る帝国電機製作所の従業員=たつの市新宮町平野(撮影・綱嶋葉名)

工場のシャッターに止水シートを張る帝国電機製作所の従業員=たつの市新宮町平野(撮影・綱嶋葉名)

 西日本豪雨による洪水で工場や店舗の休業が相次いだことを受け、兵庫県内の企業でも対策を急ぐ動きが出ている。事業継続計画(BCP)に地震対策を明記するところは多いが、水害については手薄なのが現状。内閣府の調査でも、洪水を経営のリスクとして想定する企業は3割にとどまっており、専門家からBCPの見直しが急務との声が上がっている。

 キャンド(無漏えい)モーターポンプを製造する帝国電機製作所(たつの市)で3日、揖保川の支流・栗栖川の氾濫を想定した防水訓練があった。2016年3月に完成した工場棟に従業員11人が参集。シャッターを金具で固定し、止水シートで地面との隙間を封じたほか、ドアの外側にも止水パネルを置いた。

 同社は水害防止マニュアルを備える一方、事業の早期復旧・継続の方策をまとめたBCPで水害は想定していないという。芳野克宏総務部長は「あらゆる災害に対応できるよう、本年度中に見直したい」と話す。

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 内閣府が今年2~3月に行った調査では、企業が想定するリスク(複数回答)として洪水(津波を除く)を挙げたのは30・5%と、地震の92%を大きく下回った。

 「水害は念頭になかった」と明かすのは、毛織物メーカーのニッケ(本店・神戸市中央区)。学校制服などを製造する印南工場(加古川市)は、県内最大の流域面積を持つ加古川の沿岸にあるが、BCPに水害対策を盛り込んでいない。西日本豪雨で一時、氾濫危険水位を超えたことから対策の必要性を感じたといい、「水位がどのぐらい上昇して、織物をどの高さに収納すれば被害を免れるかを検証したい」とする。

 タイヤ大手の住友ゴム工業(神戸市中央区)は、阪神・淡路大震災と東日本大震災で工場が被災したが、洪水対策をまとめた文書はない。ただ、地震時のBCPを参考に各拠点で個別に対応している。西日本豪雨では加古川工場(加古川市)で土のうを準備し、原料仕入れ先の影響確認に当たった。今後の大雨に備えて、警報・避難情報が発令された際の出退勤や、業務の優先順位に関する指針づくりを検討する。

 特装車大手の新明和工業(宝塚市)は大阪府北部地震を受け、BCP見直しに着手したばかり。武庫川沿いに本社と工場を構えており、「大地震を前提とする今のBCPを、浸水対策も含める方向で検討を始めた」という。

 西日本豪雨は大手企業の事業に影響を与えた。パナソニックとセーラー万年筆は岡山、広島にそれぞれ構える工場の浸水で操業を停止し、キユーピーも資材の調達先が冠水して缶詰ソースの製造・販売を休止した。

 東北大災害科学国際研究所の丸谷浩明教授(事業継続マネジメント)は「近年の水害は威力を増しており、各社ともBCPで水害対策の強化に踏み切る時機に直面している」と指摘。「洪水のハザードマップで危険箇所に立地しているなら、すぐに対応を講じるべきだ。直接被災した場合に加え、サプライチェーン(部品の調達・供給網)の寸断などにも備える必要がある」としている。(大島光貴、綱嶋葉名、塩津あかね)