ひょうご経済プラスTOP 経済 神鋼、神戸で石炭火力発電所に着工 届け出から「最短ペース」住民反発

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神鋼、神戸で石炭火力発電所に着工 届け出から「最短ペース」住民反発

2018.10.02
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石炭火力発電所の増設に向け、基礎工事が始まった神戸製鉄所=1日午後、摩耶山上から神戸市灘区灘浜東町をのぞむ(撮影・山崎 竜)

石炭火力発電所の増設に向け、基礎工事が始まった神戸製鉄所=1日午後、摩耶山上から神戸市灘区灘浜東町をのぞむ(撮影・山崎 竜)

 神戸製鋼所が1日、神戸市灘区の神戸製鉄所で進める石炭火力発電所の増設に向け、基礎工事を始めた。経営の柱とする電力事業強化の一環で、2021~22年度の稼働を目指す。一方、住宅地から約400メートルと近く、温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)排出による地球温暖化や大気汚染を懸念する声は根強い。増設差し止めなどを求めて提訴している住民や弁護団は「ちゃんと市民の声を聞いて」「誠実に対応して」と憤った。(小林伸哉、横田良平)

 増設計画で神鋼が経済産業省に工事を届け出たのは8月30日付。電気事業法は、経産相が工事計画の変更命令などをしない限り、受理から30日間が経過すれば着工できるとしている。

 弁護団の一員は「今回の着工は考えられる最短のペース。神鋼は相当急いでいるように感じられる」とし「住民が訴訟を起こしても、全く意に介さず計画を進める。そんな神鋼の姿勢がにじみ出ている」と批判した。

 「ずっと市民の声を聞き入れない。説明会段階から何度も反対しているのに」。神戸市灘区の女性(36)は憤る。5年前にぜんそくと診断された小学4年の長女の体調を思い、ともに原告団に入った。「ずっと地元の空気を吸って暮らしていく。これから地域で生まれる子もいる。不安を想像できないのかな。影響は子や孫の世代に続く」と訴える。

 増設計画を巡っては、周辺住民ら481人が昨年12月以降、兵庫県公害審査会に公害調停を申し立てて継続中。9月に住民40人が、神鋼など3社に建設と稼働の差し止めなどを求める訴訟を神戸地裁に起こした。

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 神鋼は02年度から、神戸製鉄所で石炭火力2基を稼働。栃木県真岡(もおか)市でも19年度から天然ガス火力発電の営業運転開始を予定する。電力事業を直近の経営の柱に据え、神戸で増設する2基の稼働後、23年度には電力事業で約400億円の経常利益を見込む。

 神鋼は「最新鋭の発電技術を有する設備を導入する」と強調。神戸市と再締結した環境保全協定を順守するとし「経済性に優れた電力を安定的に供給することで、地域のさらなる発展に貢献できる」としている。