ひょうご経済プラスTOP 経済 神鋼データ改ざん1年 識者に聞く 弁護士 山口利昭(58)

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神鋼データ改ざん1年 識者に聞く 弁護士 山口利昭(58)

2018.10.10
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弁護士の山口利昭氏=大阪市北区西天満2

弁護士の山口利昭氏=大阪市北区西天満2

 神戸製鋼所(神戸市中央区)で昨年10月に発覚した製品データ改ざんは、他の国内大手でも同様の不正が明らかになり、日本の製造業への信頼を揺るがす事態となった。神鋼は不正発覚を機に順法意識や企業統治の浸透、ものづくり現場の体制見直しなどの取り組みを始めている。データ改ざんの背景、今後の対策などを識者に聞いた。(横田良平)

取引関係にも目配りを

 -改ざん事件をどう見た。

 「組織のバランスの悪さに起因したのではないか。神戸製鋼所はこれまで、営業や製造部門の力が強く、そのしわ寄せが品質部門にきていた。加えて、同様のデータ不正があった会社に共通している納期のプレッシャーなどもあった」

 「退任した前社長の川崎博也氏の時代に、ものづくりの在り方を見直そうと、品質保証や管理について意見を言える雰囲気をつくった。せっかく現場の情報が届く仕組みにしたが、予想以上に広い部署で問題が出てきた。そんな印象だ」

 -再発防止に何が必要か。

 「神鋼1社だけの取り組みでは限界がある。取引先も巻き込んで、変われるかどうかだ。下請けや納入先との関係で、取引に無理はないか、納期のプレッシャーは生じていないかなどに目を配らないといけない。その上でリスク管理の視点から、仕事にゆとりを持たせたり、外注先を増やしたりすることを考えるべきだ」

 「品質管理では、工場長など現場の責任者の権限と責任をより明確化してはどうか。その際に、精緻なルールを作るよりも、機能していないルールを捨てて簡素化する方が効果が大きい。発想の転換が必要だ」

 -信頼回復の方策は。

 「小さな不祥事も細かく開示することで、世間に『この会社は安心』という印象を与えることができる。不祥事を防止するために企業統治を効かせるのは難しい。不祥事にきちんと向き合える企業にならないといけない」

【やまぐち・としあき】1960年福岡県生まれ。大阪大法学部卒。90年弁護士登録。大阪弁護士会所属。法令順守やリスク管理に関する企業の体制整備などに詳しく、大東建託社外取締役や大阪市高速電気軌道(大阪メトロ)社外監査役を務める。