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神戸製鉄所高炉停止から1年 進む「選択と集中」

2018.11.04
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神戸製鋼所加古川製鉄所の2号高炉。フル稼働の生産が続いている(神鋼提供)=加古川市金沢町

神戸製鋼所加古川製鉄所の2号高炉。フル稼働の生産が続いている(神鋼提供)=加古川市金沢町

神戸製鉄所の高炉停止に伴い、加古川製鉄所に新設された連続鋳造工場。溶けた鉄を凝固する工程を担う=加古川市金沢町

神戸製鉄所の高炉停止に伴い、加古川製鉄所に新設された連続鋳造工場。溶けた鉄を凝固する工程を担う=加古川市金沢町

 神戸製鋼所が、神戸製鉄所(神戸市灘区)の高炉を廃止してから1年が経過した。鋼鉄の生産を加古川製鉄所(加古川市)に集約させた結果、2018年度に150億円のコスト削減が実現する見通しだ。同製鉄所は高級鋼板の技術開発を進める「マザー(母体)工場」としての位置づけを強める一方、神戸製鉄所の高炉跡地では石炭火力発電所の増設工事が始まった。兵庫県内の主要拠点で「鉄の加古川」「電力の神戸」への選択と集中が進んでいる。(横田良平)

 神戸では1959年から鋼鉄の生産を開始。自動車のばねやボルトなどに使われる線材などを生産してきた。だが、鉄鋼需要の冷え込みや海外製の安い鉄製品の台頭もあり、昨年10月末に唯一稼働していた3号高炉を停止。これにより、鉄鉱石と石炭を高炉に入れて銑鉄を取り出し、鋼鉄の塊を作るまでの「上工程」をすべて加古川に集約した。

 神鋼は一連の生産再編で原料の輸送費や設備の稼働費用など150億円のコスト削減を見込む。神戸の高炉は規模が小さく、集約でスケールメリットが出る。粗鋼生産量は神戸、加古川を合わせて年間最大820万トンだったが、同700万トンに低下した。ただ、加古川はもともと生産余力があったため、フル操業にすることで稼働率が上がり、製品出荷量は変わらないという。

 加古川では上工程の集約に伴い、溶けた鉄を固める工場を新たに設置。神戸で上工程に従事していた約230人の多くが加古川に異動した。製造工程は神戸と同様の手法を用い、品質面に影響がないことを顧客約300社に説明したという。

 鉄鋼事業は加古川に加えて、米国、中国での生産体制を確立した。粗鋼生産量は新日鉄住金、JFEスチールに及ばないが、今後、自動車軽量化の進展を見越して高張力鋼板(超ハイテン)の安定生産や製品の充実を図る。米の合弁工場と加古川で設備を増強し、それぞれ19、21年の稼働を予定。加古川は新製品の技術開発や品質向上を手掛ける拠点とする。確立した技術を米・中国にも移転し、付加価値の高い製品で事業の拡大を図る。

 一方、神戸では加古川から半製品の供給を受け、鋼鉄を加工する下工程が残る。当面「神戸製鉄所」の名称は維持する方針で、神鋼は「神戸は特殊鋼の線材や棒鋼に強みを持つ。生産拠点としての重要性は変わらない」とする。

 高炉跡地の石炭火力発電所2基は今年10月に建設工事を開始。21、22年度の稼働を目指し、既存の2基と合わせて神戸は総出力270万キロワットと、日本でも有数の一大拠点となる。神鋼は電力事業を収益の柱と位置づけ、本格稼働後の23年度以降に約400億円の経常利益を見込んでいる。