ひょうご経済プラスTOP 経済 オフロード仕様の消防車開発 モリタグループなど

経済

オフロード仕様の消防車開発 モリタグループなど

2018.11.07
  • 印刷

オフロード仕様の小型消防車を企画開発した浜田貴行さん(左)と、製造した川口直人さん=三田市テクノパーク、モリタテクノス

オフロード仕様の小型消防車を企画開発した浜田貴行さん(左)と、製造した川口直人さん=三田市テクノパーク、モリタテクノス

小型オフロード消防車は災害現場でも共同作業ができるよう3人乗りに。衝撃に強い構造で、乗り心地は快適だ=三田市テクノパーク、モリタテクノス

小型オフロード消防車は災害現場でも共同作業ができるよう3人乗りに。衝撃に強い構造で、乗り心地は快適だ=三田市テクノパーク、モリタテクノス

オフロード仕様の小型消防車。資機材を載せる荷台部分はスライド式を採用した=三田市テクノパーク、モリタテクノス

オフロード仕様の小型消防車。資機材を載せる荷台部分はスライド式を採用した=三田市テクノパーク、モリタテクノス

 地震や水害などで生じた悪路を走破し、被災現場に素早く到着できるオフロード仕様の小型消防車が登場した。熊本地震の過酷な状況を教訓に、消防車メーカーのモリタグループ(大阪市)と川崎重工業(神戸市中央区)が共同開発。早ければ2019年度にも配備され、災害現場で活躍する姿がみられそうだ。

 消防バイクと軽消防車の長所を組み合わせた「Red Ladybug(レッド・レディバグ)」。レディバグは英語でテントウムシを指し、車両の見た目とともに、米国では幸運をもたらす虫とされているため名付けた。

 モリタグループの三田工場(三田市)で製造し、土砂崩れでふさがれて一般の消防車では進入が難しい道でも自走進入が可能だ。

 発端は16年4月の熊本地震。モリタの企画開発担当、浜田貴行さん(36)が直後に被災地で消防隊員に聞き取ったところ、夜間の発生で道路の陥没や亀裂が分からず足止めを食らい、普段なら数分で到着する場所まで何時間もかかったとの意見があった。

 消防車は整地された路面を走る前提でつくられ、道路の亀裂や土砂堆積、浸水、積雪した路面の走行には向いていない。近年、自然災害が相次ぐ中、浜田さんらは「どんな災害でも迅速に現場に到着でき、かつ普段使いできる消防車を」とベース車の選定に着手した。

 走破性など性能の高さから選んだのが、川重が北米を中心に販売する多用途四輪車「MULE(ミュール)」。ミュールは岩場や沼地などの不整地も走行でき、広大な牧場や農場などで利用実績を持つ。そのままでは日本の公道を走れないが、ブレーキなどを改良し大型特殊車両の9ナンバーを取得できるようにした。

 車両は長さ約3・5メートルと軽トラック並み。幅約1・8メートル、高さ約2・2メートル。車両底部の接触や障害物への乗り上げに強く、上り坂は約30度まで、水深は約40センチまで、火山灰なら約1メートルまで走行が可能。乗車定員3人で最高速度は時速約72キロ。小回りが利き、住宅密集地にも進入しやすい。

 荷台部分には最大約250キロの資機材を積載できる。「小型を維持し、かつ最大限の資機材が積めるようにした」と、製造担当の川口直人さん(42)。軽量化のためアルミニウムを採用し、荷台内部は消火や救助救急など目的によって入れ替えられる。

 本年度の「グッドデザイン・ベスト100」にも選ばれ、自治体から問い合わせが来ているという。配備は未定だが、浜田さんは「思い通りのものができた。実績を重ね、一人でも多くの命が救えるよう、常に進化させたい」と語る。

 11月23日から神戸市東灘区の神戸ファッション美術館で始まる「グッドデザインアワード神戸展」で車両のパネルが展示される。同美術館TEL078・858・0050

(横田良平)