ひょうご経済プラスTOP 経済 神戸発「ビスコ」はグリコ唯一スペシャリストの職人技

経済

神戸発「ビスコ」はグリコ唯一スペシャリストの職人技

2018.11.10
  • 印刷
江崎グリコのビスコ。パッケージに掲載されている「ビスコ坊や」は現在、5代目=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社

江崎グリコのビスコ。パッケージに掲載されている「ビスコ坊や」は現在、5代目=神戸市中央区東川崎町1、神戸新聞社

ビスコの規定サイズにこんがりと焼き上がったビスケット(江崎グリコ提供)

ビスコの規定サイズにこんがりと焼き上がったビスケット(江崎グリコ提供)

大人の女性をターゲットにしたビスコ。「人気は発酵バター仕立て」と担当者=大阪市北区小松原町2

大人の女性をターゲットにしたビスコ。「人気は発酵バター仕立て」と担当者=大阪市北区小松原町2

製造後5年間の長期保存が可能なビスコ保存缶。描かれているのは5代目「ビスコ坊や」

製造後5年間の長期保存が可能なビスコ保存缶。描かれているのは5代目「ビスコ坊や」

歴代の「ビスコ坊や」。右上から時計回りに昭和8、26、31、57年

歴代の「ビスコ坊や」。右上から時計回りに昭和8、26、31、57年

 発売から85年を迎えた“神戸発”の人気菓子、江崎グリコ(大阪市)の「ビスコ」の勢いが止まらない。かつては子ども向けというイメージが強かったが、近年、ターゲットを成人女性に広げる戦略が奏功し、2017年度は過去最高の売上額を更新。災害用保存食としての認知度も年々高まっている。全商品を生産する神戸ファクトリー(神戸市西区)はフル稼働が続く。

 グリコーゲン入りキャラメル「グリコ」に続く商品として1933年、「おいしくてつよくなる」をキャッチフレーズに発売。酵母入りクリームを挟んだビスケットで、「酵母ビスケット」の略称「コービス」を言い換えて名付けた。

 同種商品の競争激化などで存続が危ぶまれた時期もあったが、2000年代に入り市場調査を基に対象を大人の女性に拡大。「小麦胚芽入り」(02年)や「発酵バター仕立て」(15年)、「焼きショコラ」(18年)など新商品を次々に投入した。「一口サイズで食べやすく、家事や仕事に忙しい女性に受け入れられた」と同社担当者。

 一方、阪神・淡路大震災を経験した社員が中心となり、防災用に長期保存できる商品を企画し、07年には5年間保存できる「ビスコ保存缶」を発売。東日本大震災後は前年度の約10倍を売り上げ、保存食としての地位も確立しつつある。

 同社によると、ビスコの売上額は11年度に過去最高の45億円を記録し、12年度には初めて50億円を超えた。13年度から売上額は非公表だが、同社によると、以降も右肩上がりで、17年度までの5年間で約1・5倍になったという。

 神戸ファクトリーでビスコ製造の要となっているのが小西秀明さん(47)だ。同社で唯一、焼き菓子専門「スペシャリスト」の社内資格を有する。

 気温や湿度によって生地の出来上がり具合を想定し、設備を調整。搬送時に割れないよう包装にぴったり収めるため、規定サイズ(縦約4センチ、幅約2センチ)の誤差1ミリ以内にするなど、まさに職人技で焼き上げる。担当者は「さまざまな世代に親しんでもらえる商品を今後も生み出していきたい」と話す。(三島大一郎)