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地場産業を若者の力で活性化 兵庫県内で取り組み進む

2018.11.15
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かばんを核としたまちづくりの拠点となるトヨオカ・カバン・アルチザン・アベニュー=豊岡市中央町(撮影・秋山亮太)

かばんを核としたまちづくりの拠点となるトヨオカ・カバン・アルチザン・アベニュー=豊岡市中央町(撮影・秋山亮太)

播州刃物をPRしたドイツ・フランクフルトでの見本市。海外に販路を広げ、新たなビジネスモデルを構築した(シーラカンス食堂提供)

播州刃物をPRしたドイツ・フランクフルトでの見本市。海外に販路を広げ、新たなビジネスモデルを構築した(シーラカンス食堂提供)

地場産品の豊岡かばんがずらりと並ぶ施設内=豊岡市中央町、トヨオカ・カバン・アルチザン・アベニュー(撮影・秋山亮太)

地場産品の豊岡かばんがずらりと並ぶ施設内=豊岡市中央町、トヨオカ・カバン・アルチザン・アベニュー(撮影・秋山亮太)

 高齢化や後継者難に悩む地場産業を、まちづくりの手法や若い感性を生かして活性化させる動きが兵庫県内で進んでいる。もともと質の高い地場産品に付加価値を付けて、知名度を高めながら販路を拡大。高齢化する職人の後進育成にも挑む。さらに地域振興につなげる豊岡かばんや播州刃物の取り組みは、日本デザイン振興会の「グッドデザイン賞」に選ばれている。

 国内有数のかばん産地、豊岡市。「カバンストリート」の愛称で親しまれる宵田商店街に、豊岡かばんの拠点施設トヨオカ・カバン・アルチザン・アベニューがある。

 「最近は、かばんを目当てに来る観光客も多い。近隣一帯のまちづくりにもつながっている」。同施設を管理運営する同市の第三セクター、豊岡まちづくり会社の紙谷芳明マネジャー(62)が胸を張る。

 商店街の空き店舗を改装して2014年に開業。市内各社のかばんや部材を販売して、地域ブランドをPRする。百貨店のバイヤーらを招いた展示会にも活用。知名度の向上に伴って、城崎温泉など近隣の観光地から立ち寄る観光客が増え、周囲には12のかばん専門店ができた。

 施設には1年制の養成学校も併設。20~30代の若者が技術を学ぶ。同社によると、4年間で卒業生31人のうち19人が豊岡で就職。若者の育成や行政、地域を巻き込んだ「誇れる地場産業」の機運が醸成されている。この「かばんを核とするまちづくり」は14年度に同賞を受けた。

 一方、小野市の小野金物卸商業協同組合と地元のデザイン会社「シーラカンス食堂」は、播州刃物の知名度を上げるビジネスモデルで15年度に同賞に輝いた。

 同社は、代表の小林新也さん(31)らが、大学を卒業して間もない11年に設立。同組合と連携し、職人の手仕事で切れ味に優れた握りばさみやカミソリに、彩色や模様を施すなどしてブランド価値を高めている。

 包装にはきり箱や播州織を使い、播州刃物のブランドで、東京やフランス・パリの展示会でPRを重ねてきた。海外にも販路が広がり、高い品質を求める顧客をつかみつつある。

 小林さんは「職人に『高くても売れる』という意識を植え付けることができた。価値に見合った好循環が生まれている」と手応えを語る。若手職人が自習できる工房を開設するなど、後進育成でも「さらなる方法を考えたい」とする。(横田良平)