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神戸港貿易の即戦力に 県神戸商高、人材育成課程3年生

2018.12.01
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貿易実務検定C級に合格した県立神戸商業高の生徒たち。校内の歴史資料室に福沢諭吉の写真が飾られる=神戸市垂水区星陵台4

貿易実務検定C級に合格した県立神戸商業高の生徒たち。校内の歴史資料室に福沢諭吉の写真が飾られる=神戸市垂水区星陵台4

 港町・神戸の発展に向けて、貿易の担い手を育てる兵庫県立神戸商業高校(県商、神戸市垂水区)の教育プログラムが、本年度末で3年間の期限を迎える。生徒らは貿易企業などの協力で多彩な実務経験を重ねながら、難関の検定試験にも合格した。神戸港を支える人材の養成機関として発足した原点回帰の取り組み。来春、学校を巣立つ若者の活躍に期待が集まっている。(長尾亮太)

■アジア実習、難関検定合格

 同校は、専門性のある職業人を育成する文部科学省のスーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)に指定。2016年度から3年間、貿易業界の即戦力を育てるためのプログラムに取り組んだ。

 具体的には、第一線で働く商社マンや大学教授から「生の知識」を習得したほか、地元の港湾施設を見学したり、関連企業でのインターンシップ(就業体験)で実務に触れたりした。

 民間団体による「貿易実務検定C級」にも生徒19人が挑んで8人が合格。マーケティング▽商談▽契約▽代金決済▽苦情処理-などの知識を問うもので、1998年の開始以来、高校生の合格者は初めてという。

 中でも「新鮮だった」と生徒らが振り返るのは海外での実習だ。日本真珠輸出組合(神戸市中央区)の協力を得て、香港であった宝飾の国際商談会に参加。札束が飛び交う光景を間近に見て、商品のブランド価値を考える機会となった。今年9月にはタイの屋台で菓子を販売。行き交う人たちの目を引こうと、浴衣姿で売り場に立つなど工夫を凝らしたという。

 来春卒業予定の3年生約250人のうち、13人が貿易関連企業に内定した。青果物商社のエム・ヴイ・エム商事(神戸市中央区)に就職する女子生徒(18)は「プログラムをきっかけに貿易の仕事に興味を持った。開港以来の神戸港の歴史に触れられたのも面白かった」と振り返る。授業で講師を務めた長田庄太郎・神戸貿易協会会長は「将来の神戸港を支える貿易の人材が、卒業生の中から一人でも多く出てきてほしい」と期待を寄せる。

■神戸港開港150年 市内雇用、所得の3割創出

 今年の元日に開港150周年を迎えた神戸港。地元の港湾関連産業はサービス業も含めて裾野が広く、神戸市内で創出される雇用や所得の約3割を占める。

 同市の2003年の推計によると、神戸港の関連産業は市内就業者数の28・7%を、所得で34・7%をそれぞれ占めるという。所得シェアの内訳は、貿易や倉庫、海運、港湾運送などの「直接部門」で市内全体の計22・7%。臨海部にある商業施設やホテルなどの「間接部門」で12%だった。

 ただ、同港関連産業の所得シェアは、地域経済の構造変化に伴って低下。1973年の47・5%をピークに、79年は44%、84年は38・8%に落ち込んだ。阪神・淡路大震災で被災した同港を輸出入拠点としたメーカー、流通企業などが市外に転出したことも、シェア下落の要因という。

 市みなと総局は、兵庫県立神戸商業高校のプログラムについて「担い手の育成で、貿易や港湾産業が強くなれば、神戸経済の成長につながる」と期待する。

【兵庫県立神戸商業高】1878(明治11)年創立の「神戸商業講習所」が前身。神戸港の開港を受け、外国商人らと渡り合える人材を養成しようと、兵庫県令(現知事)の森岡昌純が福沢諭吉に依頼して慶応義塾から教員を派遣してもらったという。これまでに、元神戸市長で三田学園を創設した小寺謙吉▽神戸風月堂を創業した吉川市三▽阪東調帯護謨(ごむ)=現バンドー化学=元社長の雀部(ささべ)昌之介-らを輩出した。