ひょうご経済プラスTOP 経済 「AIのブームは数年で去る」元米マイクロソフト副社長が情報通信技術の未来語る

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「AIのブームは数年で去る」元米マイクロソフト副社長が情報通信技術の未来語る

2018.12.03
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IoTやAIに対する持論を語る西和彦さん=神戸市須磨区板宿町3

IoTやAIに対する持論を語る西和彦さん=神戸市須磨区板宿町3

 草創期の米マイクロソフトで副社長を務め、創業者のビル・ゲイツ氏と親交のある西和彦さん(62)。学生時代に起業した出版・ソフト販売会社「アスキー」の社長退任後は、古里の神戸で須磨学園(神戸市須磨区)の学園長を務め、昨春から東大大学院でIoT(モノのインターネット)の研究をけん引する。情報通信技術(ICT)の最先端を見続けてきた西さんに、未来の展望を聞いた。(大島光貴)

 -IoTでわれわれの生活はどう変わるのか。

 「行く着くところは、あらゆるモノとつながる『IoE(インターネット・オブ・エブリシング)』になるだろう。まず人の体だ。血圧や体温などのバイタルサインを常時測定し、心臓ペースメーカーの動きを修正することなどが考えられる。二つ目は家。侵入者の存在や室温を感知し、鍵をかけたり、エアコンを調節したりするインテリジェント・ハウスが生まれる。三つ目は街。ネットを張り巡らせて広域の環境維持のためのコントロールシステムが築かれるだろう。洪水を防ぐダムの放流システムなどだ。それから宇宙。月や土星、木星探査機との通信は全てインターネット経由になる」

 -人工知能(AI)に対する考えは。

 「東大でAIに関する研究もやっている。例えば、特許を100万件ぐらいAIに覚えさせ、次々と発明が出てくるマシンづくりにこの夏から取り組み始めた。医療は、医師がAIを使いながら診断をすることになるだろう」

 「AIの第一人者の米マサチューセッツ工科大(MIT)教授だった故マービン・ミンスキー氏から『研究者としてAIをやれば、一生食うに困らない。答えがないからだ。ただ、AIで会社をするな』と言われたことが忘れられない。AIは基礎研究で、それを使ってすぐに商品を作れるものではないからだ」

 -近年のAIは、自ら学習する技術のディープ・ラーニング(深層学習)が実用化され、脚光を浴びた。

 「AIは10年に一度ブームになるが、今回も数年でブームが去ると思う。歴史を見れば明らかだ。今のAIは何語でも通用するわけではなく、言葉の問題が解決されていない。ブームが去った後に、AIの研究者が本質を問われることになる」

 -メディアはどうなる。

 「超高精細の8Kテレビがインターネットの中に入るだろう。東京五輪を機に、見たい番組をネットで見られるようになる。さらに、スマートフォンとパソコンが一体化し、画面とキーボードだけになったパソコンにスマホを差せば、パソコンとして使えるようになるだろう。私も現在、スマホでパソコン基本ソフト『ウィンドウズ』が動くような製品を作っているところだ」

 -日本企業が発展するためには。

 「物を作って国内で消費したり、輸出したりするだけでは限界がある。海外に投資して収益を得る形のビジネスが増えると思う。中小企業も含め、世界中でお金をもうけて日本に送る仕組みを考える必要がある」

【にし・かずひこ】1956年、神戸市須磨区生まれ。早稲田大理工学部在学中の77年、アスキー出版(後のアスキー)を創業。79年、米マイクロソフト社副社長。アスキー社長に86年就任し、89年上場。国内の上場企業では最年少社長(当時)となる。99年、工学院大院で博士号を取得。2000~03年、米マサチューセッツ工科大メディアラボ客員教授。01年に須磨学園学園長(現職)。17年から東大IoTメディアラボラトリーディレクター(同)。