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大きく拍動する心筋シート 多木化学と阪大が作製

2019.03.12
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自律拍動するiPS細胞由来の心筋シート(多木化学提供)

自律拍動するiPS細胞由来の心筋シート(多木化学提供)

神戸新聞NEXT

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 肥料メーカーの多木化学(兵庫県加古川市)は12日、魚のうろこが原料のコラーゲンシート上で、人工多能性幹細胞(iPS細胞)から作った心筋細胞を培養し、大きく自律拍動する心筋シートの作製に成功したと発表した。大阪大との共同開発。従来の心筋シートよりヒトの心臓の組織に近いとみられ、創薬分野での応用が期待される。

 これまでの心筋シートは合成ポリマー製のシートの上で作られ、微弱な拍動だった。新開発のシートはコラーゲンシートの硬さと心筋組織の収縮力の釣り合いにより、2センチ大でも羽ばたくように拍動する。栄養を供給すれば2~3週間、拍動を続ける。

 実際の心臓の拍動を増減させる薬を添加すると、シートの拍動数が増減することも確認。ヒトの組織に近いため、薬の効果をより正確に評価できる可能性が高く、創薬の過程でもヒトへの投与や動物実験をする前に影響や効果を検証できるようになるという。

 共同開発は約2年前、心筋細胞を培養する土台となる素材を探していた大阪大の澤芳樹教授らが持ち掛けた。同社のコラーゲンシートは魚のうろこ由来で薬剤を使わず、安全性に優れる。分子を直接結合しているため、強度もあるという。

 同社研究開発本部の兒玉泰洋研究員は「コラーゲンシートは心筋細胞以外にも応用が可能で、幅広く使ってもらいたい」と話した。

 21~23日に神戸・ポートアイランドの神戸国際展示場で開かれる日本再生医療学会で展示する。(塩津あかね)