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この防災グッズ実現できる? 皆さんのアイデア、商品開発者が検証

2019.04.13
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神戸新聞NEXT

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兵田印刷工芸が手掛ける世帯別ハザードマップのサンプル。簡略化すれば布への印刷も可能という=西宮市笠屋町

兵田印刷工芸が手掛ける世帯別ハザードマップのサンプル。簡略化すれば布への印刷も可能という=西宮市笠屋町

 阪神・淡路大震災を機に生まれた防災製品を紹介した今年1月の連載「メード・イン 1・17」で、あったらいいなと思う防災製品・グッズのアイデアを読者の皆さんから募りました。寄せられた8人の案から記者が3件を選び、類似製品を手がける企業の開発担当者らに尋ねました。こんな防災製品、作れませんか?

■変温ストロー 熱を操る技術確立に期待

 飲み物を好みの温度に変えられる「変温ストロー」は兵庫県西宮市の女性からの提案。例えば、ペットボトルに入った常温のお茶やコーヒーが、変温ストローを通せば程よい温かさや冷たさになり喉を潤す。

 地震などの災害時、電気やガスが使えないことがある。温かい食事や飲み物を口にできず、被災者のストレスが募る。冬場であればなおさらだ。そんな時に使うことを想定する。

 尋ねたのは電機大手のパナソニック(大阪府門真市)。技術広報担当の飯田正憲課長(58)は「ストローのように細い筒状の形で、加熱や冷却をする技術は今の世の中にはない」とし、丁寧に解説してくれた。

 熱を加えたり吸収したりする技術は、冷蔵庫やエアコンの熱交換器などがある。だが、熱の出し入れには電気を使うため、作動させるにはコードが必要な上、大きくなってしまうという。温水洗浄便座で使われている技術の転用も、「ヒーターで熱した水を流せば温かくなるだろうが、ストローの形にできるかどうか」と可能性は低いとみる。

 実現へのハードルは高そうだが、「熱を自在に操る技術を確立できれば、変温ストローのような画期的な製品が生まれるだけでなく、エネルギー問題も一気に解決するかも」と飯田課長。新技術の到来に期待を寄せた。(大島光貴)

■ご飯の缶詰 加熱不要のカレー開発中

 「ご飯の缶詰」のアイデアは、会員制交流サイト(SNS)を通じて寄せられた。「缶を開けたらそのまま食べられるものを」と要望する。

 実は、缶詰のご飯は非常食やキャンプ用に既に販売されている。しかし湯せんなどで加熱する必要があり、缶を開けてすぐ食べられるものは見当たらない。

 缶詰などを製造・販売するエム・シーシー食品(神戸市東灘区)の上川至研究開発部長(58)に聞いてみると、「コメは炊いてから時間がたつとデンプンがぱさぱさになっておいしくない。熱を加えれば元に戻るので、大抵の商品は熱するようになっている」と加熱の理由を解説する。

 同社は、加熱せずに食べられる「災害と闘う救助隊員のカレー」を兵庫県警と共同開発中。冷めると固まる動物性油脂や小麦粉を使わず、アルファ米にかければ火や電気がなくてもカレーライスが出来上がる。

 「うちが作るからには、普段食べてもおいしいものにしたい」と上川さん。6月に発売予定という。(塩津あかね)

■ハザードマップ手ぬぐい 世帯別の配布が望ましい

 兵庫県三田市の男性は、災害時の被害想定地図「ハザードマップ」を印刷した手ぬぐいを考えた。日常的に使うことで危険箇所や避難場所を熟知でき、災害時は「避難先を明記し倒壊家屋に貼り付ければ、訪れた縁者に居場所を伝えられる。首に巻けば防寒対策にもなる」と利点を訴える。

 紙媒体印刷を手掛ける兵田印刷工芸(西宮市)によると、「Tシャツに字や絵柄を印刷できるように、データさえあれば手ぬぐいやタオルにハザードマップを印刷することは技術的には可能だ」とする。

 ただ、一般公開されているハザードマップは掲載地域の範囲が広く、情報量も多い。布は劣化すると印刷した字などが見えづらくなるため、特定地域の幹線道路と主要な建物に絞るなど情報を簡略化する必要があるという。

 同社は、世帯の特徴に応じたハザードマップの作製を自治体に提案している。「妊産婦や乳幼児がいる世帯向けなど、情報を分けておけば緊急時に使いやすい」と担当するソリューション営業課の西中辰也さん(39)。「こうした世帯別マップを印刷した手ぬぐいなどが自治体から配布されれば市民に喜ばれる」と話す。(三島大一郎)