ひょうご経済プラスTOP 経済 商品名とCMソングで社員38人の会社がトップブランドに イボコロリ発売100年

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商品名とCMソングで社員38人の会社がトップブランドに イボコロリ発売100年

2019.04.14
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イボコロリの足かけ1世紀を振り返る横山製薬の井上雅文社長=兵庫県明石市相生町2

イボコロリの足かけ1世紀を振り返る横山製薬の井上雅文社長=兵庫県明石市相生町2

歴代のイボコロリ。かつて使われた青い瓶は、空襲で一部溶けたとか=兵庫県明石市相生町2

歴代のイボコロリ。かつて使われた青い瓶は、空襲で一部溶けたとか=兵庫県明石市相生町2

イボコロリのテレビCMに使われたというカット=兵庫県明石市相生町2

イボコロリのテレビCMに使われたというカット=兵庫県明石市相生町2

横山製薬を創業した横山長次郎氏

横山製薬を創業した横山長次郎氏

1950~60年代に作られたイボコロリの商標登録の書類(左)と、新聞や雑誌の広告に使ったとされる原板

1950~60年代に作られたイボコロリの商標登録の書類(左)と、新聞や雑誌の広告に使ったとされる原板

 ウオノメ、タコ、イボ治療薬「イボコロリ」は今年、発売100年を迎えた。分かりやすい商品名やCMソングで全国区の支持を集めるトップブランドだが、製造販売するのはパートを含め社員数わずか38人の横山製薬(兵庫県明石市)。足と靴の相性に苦しむ女性などの声をヒントに、伝統の塗り薬に加え、ばんそうこうや飲み薬などシリーズ商品を追加し、他の追随を許さない。皮膚の悩みを解決するオンリーワン製品は、どのように生まれたのか。

 横山製薬は1900(明治33)年、横山晴人会長(61)の曽祖父で、薬屋で奉公した長次郎氏が明石で創業し、イボコロリは19(大正8)年に発売した。詳しい記録はないが、有効成分のサリチル酸にいち早く目を付け、遠方まで消費者宅を訪ねて使ってもらい、効能を確かめたという。

 イボコロリを塗ると患部は乾燥して白い皮膜ができる。皮膜の下でサリチル酸が皮膚を軟らかくし、やがて患部ははがれる。

 「効き目はもちろん、そのものズバリのネーミングが素晴らしかった」と、井上雅文社長(58)。

 戦後、新聞や雑誌、ラジオで商品名を大々的に宣伝する“メディア戦略”を推し進め、国民的に「イボ治療と言えば」と連想させることに成功した。後にテレビCMも女性漫才師を起用するなど積極化し、現在も「♪ウオノメ、タコ、イボ、イボコロリ~」のメロディーに乗せたアニメが人気を集める。

 高度経済成長期に入って生活が豊かになると、さらに需要が高まる。女性の間でハイヒールやブーツが流行したからだ。履く際、靴と皮膚がこすれて角質層が硬くなり、ウオノメやタコができる事例が増えた。痛みをこらえて無理な歩き方をすれば、腰やひざも悪くしかねない…。売り上げは飛躍した。

 圧倒的なシェアを誇るが、新商品の開発も怠らない。同社のお客様相談室には、1日平均数件、夏場は同10件程度の電話が寄せられるといい、その声などを基に89年(平成元)年に「イボコロリ絆創膏」、96年にウオノメ治療の「ウオノメコロリ」、2012年に顔や首のイボに対処する「イボコロリ内服錠」を相次いで投入した。

 「10年以上苦しんだのにきれいになった。何万人も同じ気持ちの人がいると思う。指先を見るとニヤニヤしてしまう」

 「20年以上痛かった。もっと早く会っていたら人生が変わった。とても歩きやすい」

 深刻な症状から解放されたことへの礼状も、数多く届く。

 ウオノメ、タコ、イボの治療に特化し、シリーズの売上高が今なお伸び続けているという横山製薬。井上社長は「これからも顧客の悩みに寄り添う製品を世に送りたい」と前を向く。ちなみにウオノメやタコ、イボをよく知るからか、井上社長を含め、社内に治療が必要な人はいないそうだ。(記事・佐伯竜一、写真・中西幸大)