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菊正宗酒造、副産物利用の化粧品が人気 売上高3倍へ事業強化

2019.05.24
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日本酒の副産物を利用した化粧水に手を添える菊正宗酒造の阿曽利彦課長(右)=神戸市東灘区御影本町1

日本酒の副産物を利用した化粧水に手を添える菊正宗酒造の阿曽利彦課長(右)=神戸市東灘区御影本町1

 菊正宗酒造(神戸市東灘区)は、醸造時の副産物を利用した化粧品の事業を強化する。顧客は日本酒と重なる40歳代以上が中心だったが、口コミサイトで人気が出て若年層にも浸透。2020年度に通信販売限定の商品を投入し、化粧品の売上高を現在の約10億円から25年度に3倍に引き上げる計画だ。(塩津あかね)

 同社は11年に化粧品事業に参入し、化粧水が翌年にヒット。後継商品の「日本酒の化粧水 高保湿」(500ミリリットル、参考小売価格840円)が13年から6年間で累計300万本を販売した。現在は化粧水や美容液など約20品目を扱う。

 参入当初は商品の認知度を上げるため、集客力のある量販店などに照準を絞ってきた。保湿成分を多く配合しながら価格を抑えた結果、口コミサイトで商品力が評価されたという。20年度から通販限定の商品を投入して販路を広げ、定期購入にもつなげる考えだ。

 同社は海外市場にも注力してきた。16年から輸出を始め、中国を含むアジアや北米、オセアニアなど12カ国・地域に出荷する。化粧品売上高の海外比率は18年で約15%。17年に最大輸出先の中国・上海に現地法人を設立した。18年には海外顧客を意識した新ブランド「ライス メイド+」を立ち上げている。

 日本酒には保湿効果のあるアミノ酸が多く含まれるため、酒造各社は醸造工程で生じる副産物を利用して約30年前から化粧品を販売している。兵庫県内では、大関(西宮市)や日本盛(同)、白鶴酒造(神戸市東灘区)などが参入。一方で販売不振を理由に撤退したり、原料供給に専念したりするところもある。

■化粧品事業担当者に聞く 品質高め、価格は抑える

 菊正宗酒造で化粧品事業を担当する阿曽利彦課長に、参入の経緯や今後の戦略などを聞いた。

 -なぜ、化粧品事業に参入したのか。

 「2008年に日本酒の副産物を利用した入浴剤を発売し、ロングセラーになった。化粧品も勝算があると思い、11年に発売すると販路は広がったが、売れ行きは伸び悩んだ。それでも一部でヒットしていた日本酒の化粧品もあり、当社はニーズに合った商品を供給できていないだけだった。そこで、美容への関心が高い人に向けて『セラミド』などの成分を多く入れ、価格を抑えた」

 -ヒットの要因は。

 「スーパーで試供品の配布や陳列棚の装飾などに力を入れた。口コミのサイトで上位にランクされ、今もツイッターなどで毎日のように発信されている」

 -輸出も始めた。

 「最大市場の中国では、ピークで年商約1億5千万円まで伸ばした。今は販売を絞っており、9千万円弱ぐらい。売れずに在庫が積み上がれば、安売りされてしまう。適切に売ってくれる小売店と取引するための過渡期だ。輸出を念頭に新たなブランドも始めた。輸出品は和風のデザインにする企業が多いが、世界的に人気の韓国の化粧品は欧米製品かと思うようなものが多く、当社の新ブランドもそういうデザインにした」