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神戸市の企業用地、売れ行き好調も 追加造成は慎重

2019.06.13
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企業の進出が相次ぐ神戸テクノ・ロジスティックパーク=神戸市西区見津が丘(神戸市提供)

企業の進出が相次ぐ神戸テクノ・ロジスティックパーク=神戸市西区見津が丘(神戸市提供)

 神戸市が造成した企業用地の分譲がハイペースで進んでいる。企業が設備投資を活発化させているためだ。既存の企業用地が底をつきそうな局面に入っており、同市は景気動向をにらみながら、追加造成の判断を迫られている。(長尾亮太)

 同市は3月、航空機部品メーカー「上村航機」(兵庫県加古川市)など3社と土地売買契約を締結。2017年4月以降の市による売却面積は計約50・6ヘクタールに達した。

 市は05年、企業誘致を加速させるため、庁内の複数部門をまたいだ専門チーム「神戸エンタープライズプロモーションビューロー」を新設。50ヘクタールを売却する期間は、当初の3年からリーマン・ショックによる景気後退で4年1カ月になったものの、その後の好景気で売却ペースは2年9カ月、2年3カ月と縮まり、直近では2年となった。

 市によると、企業用地の買い手は大手企業や外資系にとどまらず、地元の中小企業にまで広がっている。低金利で資金を調達しやすく、借りていた用地を購入した企業も18社(計13・5ヘクタール)あったという。

 直近2年で分譲した用地の6割超(32・6ヘクタール)を占めたのが、神戸テクノ・ロジスティックパーク(同市西区)。地盤が強固な内陸部にあり、地震や津波などの影響が小さいとの見方から、東日本大震災後に人気が高まっている。

 ポートアイランド2期(中央区)7・4ヘクタール▽神戸サイエンスパーク(西区)5ヘクタール▽港湾用地(中央区など)4・6ヘクタール-がこれに続く。

 企業用地の使途で多いのが物流施設だ。不動産管理・運営会社「シーアールイー」(東京)は18年、神戸テクノ・ロジスティックパークの1・3ヘクタールを取得した。「ネット通販の普及で物流の小口・多頻度化に対応するため」と進出の理由を説明する。このほか、金属部品や食品などの増産に向けた工場用地の取得も多かった。

 売却ペースが速まる中、産業用地が底を突く懸念が浮上している。造成後に分譲・賃貸をしていない未利用地は約150ヘクタールと、全体(約940ヘクタール)の16%にまで低下した。

 しかし、巨費を投じて造成しても、景気後退により買い手が付かなくなる恐れがあり、市は追加造成に慎重だ。

 生産工程の機械化で新工場による雇用創出効果は乏しい。また、企業誘致も税優遇策に頼るところが大きく、税収増にはつながりにくいという側面もある。それでも「地元の中小企業向けに小型の産業団地は必要では」との声は根強い。今秋には消費増税を控え、市は景気動向を注視している。