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視覚障害者向け新商品 県内企業、意見聞き取り開発

2019.06.15
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神戸デジタル・ラボが開発した「IoTバス降車サポート」=神戸市中央区御幸通8

神戸デジタル・ラボが開発した「IoTバス降車サポート」=神戸市中央区御幸通8

アシックスが研究を進める「靴センシング」=神戸市中央区御幸通8

アシックスが研究を進める「靴センシング」=神戸市中央区御幸通8

TOAなどが開発した「AR音声案内システム」=神戸市中央区御幸通8

TOAなどが開発した「AR音声案内システム」=神戸市中央区御幸通8

音声データがメールで送られてきたタブレットを手にする視覚障害者の園順一さん=神戸市中央区御幸通8

音声データがメールで送られてきたタブレットを手にする視覚障害者の園順一さん=神戸市中央区御幸通8

 視覚障害者の意見をもとに商品開発に挑むイベントの最終報告会が、このほど神戸市内であった。兵庫県内の企業など5社が、開発の進み具合や実用化に向けた課題などを発表した。(中務庸子、塩津あかね)

 情報通信技術(ICT)を使って障害者の社会参加を進めるNPO法人アイ・コラボレーション神戸(神戸市中央区)が主催した。昨年8月に視覚障害者から日常の困りごとなどを聞き取り、1週間後に試作品を開発。その後、それぞれ実証実験などを行い改良を重ねた。

 視覚障害者の多くは、スマートフォンの音声読み上げ機能を利用しているといい、スマホ関連の商品が目立った。塩野義製薬(大阪市)は、服薬の注意事項を音声で読み上げるシステムや、弱視の人向けに文字を大きくした市販薬パッケージについて発表した。

 同法人の板垣宏明理事長は「視覚障害者向けの商品は高齢者や訪日外国人にも応用が可能。多様化する市場への提案にもつながれば」と話した。

◇バス降車アプリで伝達 神戸デジタル・ラボ(神戸市中央区)

 バスの降車ボタンの場所が分かりにくく、乗車を避けがちという当事者の声から開発。スマホアプリを起動し、画面に表示された降車の疑似ボタンをタッチすると、実際の降車ボタンの下にあらかじめ設けた「ボタン押し代行ロボット」が作動する仕組み。近距離無線通信「ブルートゥース」を使い、乗客以外からの受信を防ぐ。ロボットは一つ500円ほどで、導入費が抑えられるのもメリット。

◇振動する靴で歩行誘導 アシックス(神戸市中央区)

 点字ブロックがすり減ったり、車いす利用者に配慮して撤去されたりする現状から「凹凸のない点字ブロックが作れないか」と発想。同ブロックの代替となる磁石を路面に埋め込み、磁気に反応して振動する靴を開発した。ただ、磁石の埋設は費用負担などを巡って実現性に乏しい。現在は博物館の展示物の位置を磁気で知らせる仕組みに切り替えて、外出の促進を重視した研究を続けている。

◇目的地まで声で導く TOA(神戸市中央区)・アイ・コラボレーション神戸

 スマホで専用の読み取りアプリを起動し「AR(拡張現実)マーカー」にかざすと、外出先でトイレや駅改札口などの方向、距離を音声で伝える。例えば目的地が北方向にあり、スマホを北向きにかざすと「○メートル直進」と案内。西を向いてかざせば「右に○メートル直進」などと指示してくれる。改札口と逆方向に進んだり、上りと下りのホームを間違ったりするという視覚障害者の意見を反映させた。

◇メモ話しかけて記録 クラスメソッド(東京)・TOA

 視覚障害者がメモ代わりに使うレコーダーは、音声のままだと必要な情報を検索できないとの課題を受けて開発した。AI(人工知能)スピーカーに「メモして」と話しかけると、音声を文字に変換して記録。メールで送信され、後から検索できる。すでに今年初めから一部のアプリストアで無料公開しており、話しかけるだけでメモが取れる手軽さから、健常者にも利用が広がっているという。