ひょうご経済プラスTOP 経済 「農福連携」15年の手応え 養父の法人、障害者2人作業

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「農福連携」15年の手応え 養父の法人、障害者2人作業

2019.06.25
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 農業を障害者の雇用の場として生かそうと政府が拡大方針を打ち出した農業と福祉をつなぐ「農福連携」に、15年前から取り組む農業法人が兵庫県養父市にある。知的障害者2人が野菜栽培に携わり、「いないと回らない」と同法人は働きを評価。金谷智之代表(44)は「単純作業の多い農業は、他産業より障害者が関わりやすい」と手応えを語る。(山路 進)

 政府は今月4日、新たに3千の農福連携の取り組みを創出する「農福連携等推進ビジョン」をまとめた。兵庫県によると、県内では、就労継続支援事業所などが自ら準備した農地で利用者が野菜などを栽培、作物を加工するケースが大半。農業の労働力確保や障害者の就労促進につながる、農地の作業を受託する事業所は少ないという。

 同市のおおや高原に33棟のビニールハウスを構える「アグリハイランド金谷」。ほうれん草などの葉物野菜を年約34トン出荷する。従業員は金谷さんと両親、パート女性4人。週2日、同市の就労継続支援事業所「たんぽぽワーク」を利用する知的障害者の男性(59)と別の男性(37)が通う。

 同事業所利用者の受け入れは2004年から。農業体験会で、手伝ってもらえそうな人を見つけたのがきっかけだった。男性(59)は10年目、男性(37)は14年目を迎えた。金谷さんは「成長はゆっくりだけど、傷んだ野菜も見分けられるようになった」と話し、今では収穫も任せる。「肥料やりや収穫物運搬などは重労働。若い男性が欲しいが確保は難しい」と頼りにする。

 2人は事業所を通じて週5日、同法人や工場などで働く。事業所管理者の正垣容子さん(59)は「農業は種まきや収穫、出荷などでさまざまな喜びを感じられるのでいきいきと仕事を楽しんでいる」と話す。作業能力や社会性などの成長が認められ、2人の工賃は当初の倍になったという。

 それでも今の工賃は、正規雇用した場合に必要な最低賃金、時給871円の4分の1以下。金谷さんは「さらにできるようになれば正規雇用もと思うが、出費にも限界がある」と打ち明ける。障害者を雇用する際の賃金の減額特例や、障害年金との関係なども気に掛ける。「農福連携を広げるためにも、農業者と福祉現場をつなぐ相談窓口を設けてほしい」と話している。