ひょうご経済プラスTOP 経済 働き方改革の同一賃金 経営者には悩みの種「コスト上昇の恐れ」

経済

働き方改革の同一賃金 経営者には悩みの種「コスト上昇の恐れ」

2019.07.09
  • 印刷
自由な働き方が、子育てや介護、副業との両立を望む地元の女性らに人気=丹波市春日町野村、足立商事

自由な働き方が、子育てや介護、副業との両立を望む地元の女性らに人気=丹波市春日町野村、足立商事

 21日投開票の参院選は、働き方改革を巡る論戦にも関心が集まりそうだ。残業時間の上限規制や社員間の不当な待遇差をなくす「同一労働同一賃金」などを盛り込んだ関連法が4月から順次施行。人材確保につなげようと、働きやすい職場づくりに力を入れる企業もあるが、経営者側には人件費の負担増に対する警戒感も消えない。(佐伯竜一)

 働き方改革関連法は、多様で柔軟な働き方を選択できるようにし、仕事と生活の両立を推進するのが狙い。二つの柱があり、一つは、原則月45時間・年360時間の残業規制やワークライフバランスなど労働時間法制の見直し。もう一つは、雇用形態に関係なく業務内容に応じて賃金を決める「同一労働同一賃金」。昨年6月に成立し、今年4月から順次施行。同一労働同一賃金は大企業などで2020年4月、中小企業でも21年4月から施行される。

 「30分以内の遅刻は連絡不要」「幼稚園の迎えの合間に仕事ができます」

 雑貨卸・出荷代行業の足立商事(兵庫県丹波市)は、パートタイマーの自由度を高めた働き方を打ち出し、子育てや介護などに忙しい地元女性に支持されている。

 午前8時~午後6時の間で働きたい日時を決め、1週間前までに報告する仕組み。作業の時間や内容、精度をICカードで把握し、成果に応じて時給を引き上げる。欠勤や遅刻、早退をしても給与に響かない。足立健実社長(41)が「働く場所がない」「子どもの学費を稼ぎたい」との声を聞き、18年に導入した。

 柔軟な勤務体系が評判を呼び、出した求人の募集枠はすぐ埋まるという。現在、20~70歳代の女性42人が働く。「この勤務管理システムを他社にも広げたい」と足立社長は意欲を示す。

 一方、関連法のうち「同一労働同一賃金」は人件費の上昇につながりかねず、企業経営者にとって悩みの種だ。「正社員と非正規労働者が混在し、業務内容も共通しがちな飲食・小売業ではコスト上昇の恐れがある」と話すのは、人事コンサルタント会社「あしたのチーム」(東京)の担当者。逆に、正社員の給与を従来の非正規の水準に合わせようとすると「正社員の離職を招く」と指摘する。

 各党の選挙公約のうち、雇用関連では最低賃金の引き上げが目立ち、働きやすい職場づくりを推進するような政策に乏しい。

 ひょうご仕事と生活センター(神戸市中央区)の川村貴子副センター長は「働き方改革やワークライフバランスは従業員の福利厚生でなく、企業の経営戦略として取り組むべき」と強調。足立社長は「働き手の生活様式に即した就労スタイルを提案できれば、雇用のチャンスは一挙に広がる。働きたい人が一歩踏み出しやすい柔軟なアイデアや支援が広がる後押しを政治に期待する」と力を込めた。