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スポ×ビズ新時代(5)スポーツ×ツーリズム

2019.08.20
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おもてなし研修で作製したミニ国旗。レストランで訪日客が迷わず席に着く工夫という=加東市牧野、ヤシロカントリークラブ

おもてなし研修で作製したミニ国旗。レストランで訪日客が迷わず席に着く工夫という=加東市牧野、ヤシロカントリークラブ

「ピエリ守山」で借りられる自転車。琵琶湖畔のサイクリングを気軽に楽しめる=滋賀県守山市今浜町

「ピエリ守山」で借りられる自転車。琵琶湖畔のサイクリングを気軽に楽しめる=滋賀県守山市今浜町

 「ビューティフル」。青々とした芝のコースを前に、スペイン人女性が声を上げた。昨年12月、女性を含む欧米人3人が兵庫県三木市のゴルフ場を視察した。いずれも旅行会社の関係者だ。

 同市を含む5市1町からなる北播磨地域は、兵庫県のほぼ中央に位置する。北播磨県民局は2017年、ゴルフを切り口に課題だったインバウンド(訪日外国人客)誘致に着手。アジアだけでなく欧米からの誘客にも本腰を入れ始めた。

 ひょうごツーリズム協会専務理事の〓橋幹雄(59)は同県民局に赴任した3年前、管内の観光マップを見て驚いた。琵琶湖の約1・3倍の広さに、ゴルフ場を示すマークが61カ所も付いていたからだ。「これを生かさぬ手はない」。〓橋が目を付けたのが海外で市場が拡大していたゴルフツーリズムだった。

 懸念もあった。言語やマナーの違いから外国人の受け入れに消極的なゴルフ場は多い。「本当にできるのか」。アンケートを実施したところ、意外にも約20のゴルフ場が前向きな回答を寄せた。国内のゴルフ人口は減少傾向。打開策を模索するゴルフ場の意志を感じ、不安は消えた。

 昨年3月、官民でつくる兵庫・北播磨インバウンド推進会議を結成。海外の旅行社との関係づくりを進め、昨年度は韓国や台湾などから延べ2170人が訪れた。先進地の三重県などとも連携。本年度の客数は6月末時点で昨年度を上回った。

 刃物製造や酒蔵見学など地場産業体験を絡めたツアーも企画。ゴルフ場スタッフ対象のおもてなし研修も開く。同県民局県民交流室長補佐の三宅隆之(47)は言い切る。「ゴルフ場の活用が、観光振興の切り札になる」

   ◇  ◇

 「体験型観光」とも称されるツーリズムで、勢いに乗るのが自転車で琵琶湖を1周する「ビワイチ」だ。15年に10万人だった琵琶湖周辺のサイクリング参加者は、18年は21万人に倍増した。滋賀県守山市はその起点となる戦略で、地域経済の活性化へと突き進む。

 サイクリストの聖地、瀬戸内の「しまなみ海道」を徹底的に研究した。16年に、世界最大の台湾の自転車メーカーの旗艦店誘致に成功。琵琶湖大橋のたもとにある商業施設「ピエリ守山」に働き掛け、無料駐車場を午前7時半から開放する協力を取り付けた。

 ビワイチで守山市をスタートした人の推計値は、15年の4%から17年に9%に増加した。それらが呼び水となり、ピエリ敷地内に今年3月、天然温泉施設が開業。札幌市のアウトドアショップも本州初出店し、自転車のレンタルを始めた。ピエリの総支配人児山一晃(40)は「地域が盛り上がってきた」と歓迎する。

 同市は17年に「しまなみ」の愛媛県今治市、翌年には淡路島を1周する「アワイチ」の淡路県民局と提携し、相互にPRしてきた。次は、富士山を1周する「フジイチ」などとの連携ももくろむ。

 スポーツと地域の観光資源を結びつけるツーリズム。人を呼び込む新たな仕掛けづくりが広がっている。=敬称略=(三島大一郎)

=おわり=

※〓は「高」の異体字「はしごだか」