ひょうご経済プラスTOP 経済 福島に介護ロボ開発拠点 加古川の企業「被災地の力に」

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福島に介護ロボ開発拠点 加古川の企業「被災地の力に」

2019.08.27
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「自然豊かな福島は研究環境として最適」と話す森和明社長(右)と社員ら=福島県南相馬市

「自然豊かな福島は研究環境として最適」と話す森和明社長(右)と社員ら=福島県南相馬市

福島と加古川を結ぶテレビ会議は頻繁に開かれる=加古川市加古川町北在家(同社提供)

福島と加古川を結ぶテレビ会議は頻繁に開かれる=加古川市加古川町北在家(同社提供)

 ソフトウエア開発を手掛ける富士コンピュータ(兵庫県加古川市)が東日本大震災の被害を受けた福島県南相馬市で、AI(人工知能)技術を活用した介護ロボットの開発を進めている。手掛けるのは、兵庫からの移住者や地元出身者らによる“混成”チーム。被災地支援と成長分野への投資を両立させようとする取り組みで、注目を集めている。(竹本拓也)

 同社は1979年、富士通を退社した森和明社長(68)が1人で起こした。スポーツや情報技術教育に力を入れる通信・単位制高校「相生学院」の運営でも知られる。

 森社長は3年前、3年間介護を続けた母親を在宅でみとった。仕事との両立、介護にかかる心理的・精神的負担など、誰もが抱える課題と向き合った経験から、「介護支援にロボットの力を生かせないか」と考え始めたという。

 一方、東日本大震災の復興支援にも関心を持っていた。昨年秋、同社の「AI技術研究所」の進出先として選んだのは、震災と東京電力福島第1原発事故で大きな被害を受けた南相馬市の企業跡地だった。

 新規事業のリスク、放射能への不安、兵庫を離れての勤務-。社内には抵抗もあった。しかし最終的に、20人以上が開発プロジェクトチームに参加。南相馬にアパートを借りて常駐する社員、加古川と行き来する社員のほか、森社長の念願だった地元出身者の採用も実現した。

 取り組んでいるのは、動物をモチーフとしたペット型ロボットの実用化。まず、利用者の趣味や嗜好(しこう)などを学習させて会話できるようにする。将来的には、会話情報の変化を読み取って認知症の早期発見や服薬チェックができることも目指す。自然な話し方に近づけるよう、大阪大の学識者や兵庫県稲美町の医療機関の協力を得て改良を進めている。

 今年6月末には、同市の沿岸部でロボットやドローンの研究開発拠点となる「福島ロボットテストフィールド」への入居も決まった。原発事故で失われた浜通りの産業復興に向け、国が福島で進める構想の一環で、兵庫県の企業では唯一だ。

 「地元に新たな仕事をつくってくれてありがたい。復興の力になりたい」。男性(42)=南相馬市=は津波で自宅が全壊した。転職し、今春から働く。同社社員で福島での勤務を志願したネパール出身のシステムエンジニア(32)は「介護ロボットと情報通信技術を組み合わせ、日本の未来に何が生み出せるか考えていく」と意気込む。