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神戸阪急始動【下】まちの顔 三宮変貌活気高める力に

2019.10.09
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神戸阪急の開業初日。大勢の来店客で混雑する地下1階の食品フロア=5日午前、神戸市中央区小野柄通8(撮影・大森 武)

神戸阪急の開業初日。大勢の来店客で混雑する地下1階の食品フロア=5日午前、神戸市中央区小野柄通8(撮影・大森 武)

 神戸阪急(神戸市中央区)が開業した5日。そごう神戸店の元従業員瀬藤由紀子(56)は、にぎわう店内を歩きながら往時を思い出していた。

 大阪万博翌年の1971年から96年まで地域1番店だった同店に、85年に就職した。

 「店は活気に満ちていた。まちにも勢いがあり、心がウキウキするような雰囲気があった」

 96年4月。前年の阪神・淡路大震災で本館が半壊した同店は1年3カ月ぶりに全館再開を遂げ、開店を待ちわびた市民らが長蛇の列をつくった。客は夕方になっても途切れず、店は笑顔であふれた。忘れられない光景だ。

 「百貨店はまちの『顔』。にぎわいが続いてほしい」。瀬藤は願った。

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 33(昭和8)年にそごうが店を構えた地、三宮。阪急阪神百貨店社長の荒木直也(62)は、その潜在力を高く評価する。

 鉄道6路線が乗り入れ、1日延べ70万人が乗降する全国有数のターミナル拠点。まちの利便性は高く、客層も幅広い。

 官民が一体となって取り組む再整備も本格化している。西日本最大級のバスターミナルや文化ホールを備える高層ツインタワー建設計画、JR西日本と阪急電鉄それぞれの駅ビル再開発が進む。

 8月には、三宮とポートライナーで直結する神戸空港の運用規制が緩和され、発着枠を拡充。同月の旅客数は単月ベースで過去最多を記録した。

 「まち全体がレベルアップできるタイミングが近い将来、必ずやって来る」

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 地域1番店の大丸神戸店(神戸市中央区)は震災後、改修で再開を急いだそごう神戸店とは対照的に、本館の建て替えを選んだ。「上質さ」を打ち出し、富裕層を中心に顧客を開拓。海外のブランド店などを周辺に誘致し、街を一体的に整備することで旧居留地のブランド力を高めた。

 しかし2008年のリーマン・ショック以降、売上高は減少傾向にある。「三宮も元町も広域から客を呼び込むための仕掛けづくりが必要だ」。店長の冨士ひろ子(59)は危機感を強め、旧居留地で夜でも食事や買い物を楽しめる「ナイトマーケット」を開くなどの手を打つ。

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 かつてそごうは、三宮センター街、地下街さんちかとともに「三宮トリオ」を結成し、まちづくりをリードしてきた。神戸阪急にもその役割を期待する声は大きい。荒木は地域1番店の大丸神戸店を念頭に「元町・旧居留地に匹敵する、魅力の旗を三宮に立てる」と意気込む。

 そごう神戸店は最盛期の90年に売上高1471億円を記録。近年はその半分以下に落ち込んでいた。館の老朽化が進んでおり、早期建て替えの必要性を指摘する声もある。

 大きく変貌する三宮の潜在力を引き出し、にぎわいを生み出す新たな「顔」になれるかどうか。「阪急ブランド」の真価が問われる。=敬称略=

(三島大一郎)