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1足500円から 神戸発、スニーカー洗浄が好評

2019.10.23
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スニーカーを洗浄する専用洗濯機=神戸市須磨区弥栄台3

スニーカーを洗浄する専用洗濯機=神戸市須磨区弥栄台3

クリーニングによって元の白さを取り戻したスニーカー(ホームドライ提供)

クリーニングによって元の白さを取り戻したスニーカー(ホームドライ提供)

 衣類ではなく、靴を洗浄する「スニーカークリーニング」と呼ばれるサービスが全国のクリーニング店に広まっている。スニーカー通勤の増加やファッションのカジュアル化で履く人が増える中、自宅で洗う手間が省けると好評だ。専用の洗剤メーカーによると、既に約1500店で導入済みという。この先駆けとなったのが兵庫、大阪で約80店舗を展開するホームドライ(神戸市須磨区)。神戸発のサービスが新たな需要を生み出している。(中村有沙)

 ホームドライが運営する神戸市内のクリーニング店。従業員が顧客から預かったスニーカーと専用の洗剤をドラム式の専用洗濯機に入れた。ここで、立方体やシート状のスポンジも一緒に投入するのがポイントだ。洗濯槽内で攪拌(かくはん)されたスポンジはスニーカーを磨き、互いにぶつかり合っても衝撃を吸収する役割がある。

 続いて、樹木のように枝のついた円柱の乾燥機に1足ずつ掛けて乾かす。スニーカーの汚れはすっかり落ち、ひもやソール部分なども元の白さを取り戻した。

 ホームドライは2017年、日本で初めて本格的なスニーカークリーニングを開始。「韓国の店舗ではスニーカーのクリーニングが根付いている」(太白(たいはく)守貞常務)と隣国での普及ぶりに着想を得て、業務用洗剤メーカーのラクナ油脂(東京)と専用の洗剤や機材を共同開発した。

 しかし、日本ではなじみがないサービスだったため、当初は思うように利用が伸びなかった。そこで、昨年11月から無料券を積極的に配ると「想像以上にきれいになった」などと評判が広がり、19年1~8月の売上額は前年同期比3倍以上に増加。基本コースなら1足500円(税抜き)という安さも受け、リピーターは増えつつあるという。

 さらに、クリーニング業界全体を巻き込んだ取り組みも奏功した。スニーカークリーニングを「縮小傾向にある業界の新たな活路」と捉え、自社の技術を同業他社に広めるセミナーなどを開催。こうした事業が市場の成長を促した。ラクナ油脂には全国から「うちの店舗でも取り入れたい」との問い合わせが相次いでおり、担当者は「全国への広まりはホームドライの影響が大きい」と話す。

 「導入店舗はまだまだ増えると予想している」とホームドライの太白守治社長(57)。「まずは兵庫県の全クリーニング店でスニーカーを取り扱うようになれば」と業界の底上げを期待している。

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■市場縮小傾向のクリーニング業界で救世主となるか

 スニーカークリーニングは、市場が縮小傾向にある業界にとっても一筋の光明となっている。総務省の調査によると、消費者向けにクリーニング業を営む事業所数は2004年に全国で約7万8千軒を数えたが、10年後の14年には約5万6千軒と3割近く減った。

 要因の一つに挙げられるのが、衣類や生地の高機能化だ。「洗濯機で洗えるスーツなどが普及し、自宅で洗う人が増えた」と、ホームドライで販売促進を担当する山下良枝さん(46)は指摘する。

 さらに、近年は低価格のファストファッションが主流になり、「丁寧に洗濯するほどの価値を見いだす人が少なくなっている」とも。クリーニング業界の売り上げはピーク時の約4割に落ち込んでいる。

 一方のスニーカー市場は好調だ。市場調査会社のエヌピーディー・ジャパン(東京)によると、スポーツシューズの国内市場規模は18年に6120億円と、前年比で3%伸びた。併せてクリーニングにも一定の需要が見込めるため、クリーニング店の収益を安定させる効果が期待できる。(中村有沙、大島光貴)