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中小企業の事業承継を行政が支援 制度活用堅調

2019.12.05
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兵庫県の事業承継支援の補助を活用するエース・ワンの仲平好房会長(奥)=神戸市灘区桜口町2

兵庫県の事業承継支援の補助を活用するエース・ワンの仲平好房会長(奥)=神戸市灘区桜口町2

 中小企業経営者の高齢化が進む中、事業承継を支援する兵庫県と神戸市の制度で、地元企業の利用が堅調だ。県は費用の補助を、市は専門家派遣をしており、いずれも件数が底堅く推移している。事業承継がうまくいかずに廃業が増えれば地域経済への影響は大きく、制度の周知に力を入れる。(佐伯竜一、大久保斉)

 県は事業承継を円滑にするため、関連費用の半額補助を本年度から始めた。親族への承継には広告宣伝などに3年間で上限300万円と、1年目の建物改修・設備導入に同200万円の計500万円まで手当てする。親族以外の場合はこれらと別に、店舗賃借料として3年間で同300万円を補助し、最大で計800万円を受けることができる。

 県は、商工会議所や商工会などの指導で作成された承継計画を審査して補助先を決める。5~6月に募集したところ、想定を大きく上回る申し込みがあり、42件を採択した。利用の需要が見込まれることから、県は9~10月にも2次募集を行い、6件を追加採択した。うち親族以外の承継は7件あった。譲渡側の平均年齢は70歳で、後継側は43歳という。

 1次の採択先のうち、介護用品のレンタルや販売を手掛けるエース・ワン(神戸市灘区)は、社長を約20年務めた仲平好房現会長(79)が6月、親族ではない稲田弘取締役(52)にバトンタッチすることを決め、金融機関の紹介を受けて補助を利用した。

 パートを含め6人。数年前から事業の売却や廃業も考えていたが、後継候補の意思を確かめた上で、営業強化や経費節減、財務改善を進めて長年培ったノウハウをつないだ。仲平会長は「小さい会社にとって補助の効果は大きい。過渡期を乗り切り、地域で喜ばれるよう新体制を支えたい」と意気込む。

 帝国データバンクが11月15日に公表した調査によると、後継者不在の中小企業の割合は兵庫県で62・9%。前年に比べて0・8ポイント低下したものの、ほぼ3分の2に後継ぎがいない計算だ。中小企業庁の推計では、今後10年で70歳を超える経営者は全国で245万人に上り、うち半数で後継者がいないという。

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 一方、神戸市は2018年度から、地域経済を支える中小企業の事業承継を支援しようと、税理士や行政書士ら6人の専門家の派遣を始めた。19年度は4~10月末で19社に派遣した。18年度の同時期(21社)とほぼ同水準で推移する。18年度全体で40社に派遣した。

 実務を担う市産業振興財団は、金融機関や業界団体などを通じて派遣事業をPRする。担当者は「自ら相談に訪れる人は少なく、周知に力を入れている。19年度も18年度と同じ水準か、それを上回るレベルで推移するのでは」と話す。

 県経営商業課TEL078・362・3313▽神戸市産業振興財団新事業創造課TEL078・360・3220