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トーホー 海外企業のM&A加速 日本食ブーム追い風に

2020.02.21
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神戸新聞NEXT

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 業務用食品卸のトーホー(神戸市東灘区)が、アジアで海外企業の合併・買収(M&A)を加速させている。今月7日には香港で2社目となる業務用食品卸売会社の全株式を取得し、海外事業を3カ国7社体制に拡充。人口減少で国内市場が縮小傾向にある中、日本食ブームが続く海外市場に活路を開く狙いで、同社は「商品力を高め、海外でのシェアを広げたい」と意気込む。

 業務用食品卸売業界における同社の国内シェアは約5%。上野裕一会長は「国内でまだまだ伸びしろがある。数年前まで海外に進出する意欲は全くなかった」と振り返る。

 転機は2015年春。M&Aの仲介会社から、シンガポールで日本食レストラン向けに食材を卸す企業への出資を打診され、調査を始めた。

 金融や貿易の中心地の一つであるシンガポールは国民の所得も高く、日本食レストランが急増。各店舗で同社が扱う商品が多く使われていた。その上、日本企業の傘下で品ぞろえや商品管理を強化することを望んでおり、成長への意欲も高かった。「これは面白い」(上野会長)と、同年12月に買収し、海外初進出を果たした。

 さらに同国で17年、別の日本食レストラン向けの業務用食品卸2社を買収。18、19年には青果と水産品の卸売会社なども買収し、洋食や中華業態向けにも展開する体制を整えた。昨年8月に業務用食品卸の3社を合併しシステムを統一。商品調達や物流の効率化を図り、拡販に注力する。

 シンガポールで買収した企業のうち1社がマレーシアに兄弟会社を持っていたこともあり、同国でも事業を開始。香港では18年11月、現地の同業企業と合弁会社を設立した。

 海外事業の売上高は16年度が7億6千万円、18年度は28億4100万円。19年度には50億円を超える見込みで「100億円達成も遠い話ではない」と上野会長は言う。

 課題は商品力強化と人材育成だ。海外では畜産や酒類を扱う体制が整っておらず、鮮魚も弱い。語学力を含めて対応できる社員が不足しており、採用の強化などを進めているという。

 農林水産省によると、海外の日本食レストランは、17年の約11・8万店から19年には約15・6万店に増加。うち10万店以上がアジアにある。上野会長は「品質管理のノウハウなど日本企業への信頼度は高い。商品力と人材の強化を着実に進め、日本食の需要が高まるアジアでシェアを広げたい」と話している。(三島大一郎)