ひょうご経済プラスTOP 経済 酒米「山田錦」栽培スマート化 ドローン画像で生育分析

経済

酒米「山田錦」栽培スマート化 ドローン画像で生育分析

2020.07.21
  • 印刷
酒米山田錦のイネが育つ田んぼを小型無人機ドローンで撮影するスタッフ=神戸市北区大沢町日西原

酒米山田錦のイネが育つ田んぼを小型無人機ドローンで撮影するスタッフ=神戸市北区大沢町日西原

ドローンで上空から撮影した田んぼを解析したイメージ図。青から赤になるにつれ、イネの生育が進んでいることを示す(コニカミノルタ提供)

ドローンで上空から撮影した田んぼを解析したイメージ図。青から赤になるにつれ、イネの生育が進んでいることを示す(コニカミノルタ提供)

神戸新聞NEXT

神戸新聞NEXT

 兵庫県特産の酒米「山田錦」を栽培する神戸市北区の田んぼで、小型無人機ドローンを使った「スマート農業」の実証実験が始まった。JA兵庫六甲(神戸市北区)や酒造会社、電気機器メーカーなどが連携。上空から撮影した画像をもとに生育状態を分析し、質が高い酒米の収量増を目指す。資源の循環も試み、下水汚泥に含まれる再生リンを使った肥料をまいた。(中村有沙、山路 進)

 今月6日、官民農連携の「神戸山田錦推進研究会」が発足した。同JAと組合員農家でつくる神戸北山田錦部会(433軒)、神戸市、神戸酒心館(同市東灘区)、コニカミノルタ(東京)などが加わった。

■データを蓄積

 数年がかりの計画といい、初年度の今年は同区大沢、長尾、八多町にある六つの田んぼ計1ヘクタールを使う。

 ドローン撮影は3回予定している。1回目は、田植えから約1カ月後の15日にあった。研究会メンバー約10人が参加。六つの田んぼでドローンを飛ばして撮影した。

 生育状態を示すイネの色は、一つの田んぼの中でも場所によって差が出ることがあり、地上からは見分けにくい。一株ごとの茎の本数を管理することも重要で、人力で全て調べようとすると手間がかかる。これらを、上空から撮影した画像をもとにデータ化する。

 2回目は8月に飛ばし、継続調査。3回目は収穫直前の10月、実った穂の色を把握する。それぞれの田んぼの立地や土の質、天気、使った肥料、できたコメの品質を加味して分析する。

 来年以降もデータを蓄積。効率的な施肥などによって生育がよくない箇所を減らし、質が高い酒米が取れる確率を上げることを目指す。

 同JAの岡野良寛さん(41)は「水と肥料の管理が複雑。これまで築かれてきた栽培技術と、最先端のデータを組み合わせる。経験が浅い若い農家の支援にも生かしたい」と話す。

■付加価値向上へ

 肥料は、神戸市などが下水処理場で開発した再生リン肥料を試験的に使う。他の肥料もまいて比較する。

 再生リン肥料を使ってできた山田錦は約1400キロの収穫を予定。神戸酒心館は、このうち約900キロを仕入れる。来年1月ごろに新商品の完成を見込むとともに、酒米に対する評価をJAや農家側に伝える。

 食用米ではすでに、スマート農業や下水由来の肥料の利用が始まっている。今回の実験について、同社の担当者は「持続可能な酒造りは、技術の伝承に加え、資源の有効活用も重要なポイント。地球環境に優しい付加価値が高い清酒をつくりたい」と期待している。