経済
アシックス、220億円の赤字転落へ 20年12月期連結予想
スポーツ用品大手のアシックス(神戸市中央区)は13日、5月時点で未定としていた2020年12月期の連結純損益が、220億円の赤字に転落する見通しと発表した。前期実績は70億9700万円の黒字だった。新型コロナウイルス感染拡大で国内外の店舗を臨時休業したことが響き、過去最大の赤字幅となる。
同社は18年12月期に、不採算店舗の閉鎖などの事業構造改革で特別損失を計上し、203億円の最終赤字だった。経営のスリム化で収益力を高め、東京五輪・パラリンピックを追い風に再浮上する計画だったが、新型コロナで阻まれた。
今年2月に中国、4~5月に日本や欧米で直営店舗のほとんどが臨時休業した。感染の再拡大で消費者の外出自粛が続き、売上高予想は前期実績比20・6%減の3千億円とした。
また、臨時休業で生じた在庫の割引販売や、五輪開催に向けて投じたマーケティング費用が損益に響いた。オンライン会見した廣田康人社長は、「経済活動は徐々に再開している。デジタル強化も含めて回復に努める」とした。
同日発表した20年6月中間連結決算は、売上高が前年同期比21・5%減の1468億9700万円。ブラジル、ロシア通貨の下落に伴う為替差損も計上し、純損益は62億6600万円の赤字(前年同期は55億400万円の黒字)となった。中間配当は見送った。(中務庸子)