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地エネの酒 for SDGs(7)循環型社会

2021.04.23
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仮のラベルが張られた4蔵元の「地エネの酒 環(めぐる)」

仮のラベルが張られた4蔵元の「地エネの酒 環(めぐる)」

収穫される「地エネの酒 環」の原料米=2020年10月、加西市内

収穫される「地エネの酒 環」の原料米=2020年10月、加西市内

■「もったいない」が原動力

 2020年度から兵庫県内の農家が手探りで始めた「地エネの酒 環(めぐる)」の山田錦栽培は、3カ所とも化学肥料や農薬を使う慣行栽培より減収となりました。栄養過多で稲が倒れてしまわないよう消化液を控えめにしたのも理由です。

 田植え前の「もとごえ」として消化液を散布した神戸市北区の中西重喜さんは、減収の要因を後半の栄養不足と分析。「実を太らせる追肥にも消化液を使う。雑草に栄養を取られないよう除草技術を磨く」が今年の栽培方針です。

 豊倉町営農組合(同県加西市)にとって、冬期湛水(たんすい)田で除草剤なしで雑草を抑えられたのは大きな収穫でした。今後も無肥料の冬期湛水と水田微生物向けの消化液利用を続け、稲が吸収しやすい栄養分を田んぼに増やすことを目指します。

 米ぬかと消化液を組み合わせて初めて無農薬無化学肥料栽培を試みた加西市の名古屋敦さんは、農法に手応えを感じました。

 「僕の感覚では消化液は『すぐ効くけど、長くも効く』。細かく追肥をすればこれまでと同程度の収量にすることも可能では」

 名古屋さんの次の目標は、ずっと使いたいと思っていた竹やもみ殻を、消化液の力を借りて有機肥料に変えることです。

 荒れた竹林の使い道ができれば、地域の環境問題解決の手段になります。元手がかからない資源の利用は農業のコスト削減と自立力向上にも役立ちます。

 家畜ふん尿や生ごみからバイオガスをつくる。その副産物の消化液から、見捨てられてきた別のものを資源に変える循環が始まる。

 農と酒に携わる人々の「もったいない」という気持ちをつなぐ消化液は、持続可能な循環型社会のデザインを描くための「鍵」だと思います。(辻本一好)=おわり=

【循環型社会】地球の資源枯渇、廃棄物や二酸化炭素の排出削減などの問題解決には、生物由来のバイオマス資源の有効利用が不可欠となります。利便性やコスト優先で石油やプラスチックを多用してきた経済と社会を、バイオマス資源の循環主体へと転換することが求められています。

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