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中小再生、兵庫が全国最多183件 コロナ禍で経営悪化、申請が急増 20年度県支援協

2021.05.21
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金融機関に返済猶予を要請する文書の見本

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神戸新聞NEXT

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 中小企業の経営を立て直す「兵庫県中小企業再生支援協議会」の2020年度の支援件数は183件で、全国で最多だったことが、分かった。新型コロナウイルス感染拡大による事業環境の悪化で、小売業やサービス業を中心に案件数が急増。阪神・淡路大震災後の経済復興などで培った関係者らの支援ノウハウも威力を発揮したという。(高見雄樹)

 中小企業再生支援全国本部によると、中小企業の再生計画策定の支援を完了した件数(速報値)は、全国で前年度比3倍の3150件。うち兵庫も同4・5倍と高い伸びを示した。返済期限の繰り延べを金融機関に働き掛けたり、業績改善への取り組みを助言したりした。兵庫は例年、東京と大阪に次ぐ件数だったが、初めて最多となった。

 県再生支援協によると、業種別の最多は製造業の62件。次いで卸・小売業(48件)、サービス業(27件)などが続き、コロナ禍による外出自粛や休業要請などが響いた事業者への支援が目立った。183件の支援完了で約8200人の雇用が守られたという。

 県再生支援協の野田勝也統括責任者は「阪神・淡路大震災やリーマン・ショック、東日本大震災など多くの危機を乗り越えてノウハウが蓄積された。今後もあらゆる手法を総動員して支援したい」としている。

■倒産阻止へ制度フル活用

 兵庫と全国の支援完了件数を押し上げたのは、国が20年4月に創設したコロナ関連の新制度「特例リスケジュール」だ。資金繰り悪化による倒産を防ぐため、企業に最長1年間の返済猶予を認めるほか、新規の借り入れも支援する。

 借り手の企業は金融機関に資金繰りを報告し、コロナ禍が落ち着いたら返済を含めた経営計画を立てる。早い企業では昨秋から策定にかかり、現在は半数近くが計画を立案中だ。

 支援協は借入先の金融機関と交渉し、返済猶予を認めてもらう。兵庫の場合、普段から地方銀行や信用金庫の経営陣とコミュニケーションを取っているため、経営者との面談から猶予の要請まで4日間で終わる。全国平均では13日かかるという。

 負債が資産を上回る「債務超過」の企業には、支援協と連携する政府系金融機関のサポートを仰ぐ。返済順位が低く、資本に近い性格の「劣後ローン」を注入し、事業を存続させる。必要な資金は地域金融機関が協調して貸す。資金繰り改善や事業の継続が見込めなければ、弁護士らと連携し、事業と従業員を別の企業に譲渡するよう働きかけることもある。

 帝国データバンクによると、全国のコロナ関連の企業倒産は20年度で1237件。うち兵庫は50件で、東京(290件)や大阪(121件)などに続く7番目だった。倒産につながりそうな企業の一部を協議会の支援で食い止めた、と見ることもできる。

 ただ3回目の緊急事態宣言が発令され、サービス業を中心に経営体力を消耗する中小企業は多い。20年のコロナ特例融資で企業が借り入れた資金の返済は、コロナ禍収束後に本格化する。

【中小企業再生支援協議会】産業競争力強化法に基づき、国が都道府県ごとに設ける公的組織。2003年2月から全国に順次設置された。当初は特措法に基づく時限措置だったが、13年から恒久的な機関となった。兵庫は神戸商工会議所が運営し、常駐スタッフは14人。今年3月末までの約18年間に1491件の相談を受け、667社を支援した。支援企業の従業員は約3万2千人に上る。