ひょうご経済プラスTOP 経済 神姫バスやみなと銀、海外事業を展開 兵庫で培ったノウハウ活用、サービス提供

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神姫バスやみなと銀、海外事業を展開 兵庫で培ったノウハウ活用、サービス提供

2021.06.19
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神姫バスのタイ現地法人の運転手。厳しい選抜を経て採用された=バンコク市内(神姫バス提供)

神姫バスのタイ現地法人の運転手。厳しい選抜を経て採用された=バンコク市内(神姫バス提供)

神姫バスのタイ現地法人が運転手に実施しているドアサービス研修=バンコク市内(神姫バス提供)

神姫バスのタイ現地法人が運転手に実施しているドアサービス研修=バンコク市内(神姫バス提供)

 地域密着型の兵庫県内企業が、新型コロナウイルス禍で渡航が大きく制限される海外での事業に力を入れている。バス会社と地方銀行が地元で培ったノウハウを基に、現地顧客の課題を解決するサービスを提供して商機をうかがう。日系メーカーが集積するタイで活動する2社を、オンラインで取材した。(高見雄樹)

 バス事業で県内最大手の神姫バス(姫路市)は首都バンコクに三つの現地法人を持つ。旅行▽運転手派遣▽不動産投資-の3社で、中でも2017年7月にサービスを始めた運転手派遣が急成長している。

 自動車関連などの生産拠点が集まるタイには、日本など海外の駐在員が多い。仕事や生活には自動車が不可欠だが、現地人ドライバーの運転は荒い。損害保険会社によると、車1台が年に1回は何らかの事故を起こす計算になるという。

 こうした事情からバンコクには運転手派遣業者が多く、日系も5社程度が参入する。神姫バスの現法は200人の運転手を抱え、約100社の契約企業に運転手を派遣するまでに成長した。兵庫で90年超の歴史があり、独自の運転手育成法で他社と差別化するのが特徴だ。

 例えば、タイでは車間距離を日本よりも詰める傾向にある。追突事故の危険性が高まる理由を何度も説明し、習慣の違いを乗り越えた。丁寧なドアの開け閉めなどは研修で何度も確認する。時間の感覚が日本とは異なるため、運転手の遅刻を見越して代替要員を多めに配置。サービス水準を高めて顧客の信頼をつかみ、年商は約3億円になった。

 タイ事業を立ち上げた現法社長の三木公仁さん(47)は「蓄積したノウハウを活用し、本業の公共交通に進出したい」と先を見据える。電気自動車(EV)を後押しする政府の施策を受け、鉄道の駅と住宅地を結ぶEVのシャトルサービスを構想。2年後には実証実験を始めたいとしている。

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 海外で活躍する県内企業の資金ニーズに応えようと、みなと銀行(神戸市中央区)は「スタンドバイ信用状」という制度を有効活用する。日系企業の海外現法が現地の銀行から融資を受ける際、みなと銀が債務を保証する。借り手にとっては現地通貨での融資なので為替リスクを回避できるなどの利点がある。

 第二地方銀行のみなと銀は営業活動ができる海外支店を持たず、今春には唯一の海外拠点だった上海駐在員事務所を閉めた。代わりにグループのりそな銀行の拠点網を活用する方針に転換。りそなの仲介で業務提携したタイのバンコク銀行には昨年、入行9年目の堀本純さん(33)を初めて派遣した。

 堀本さんは、この1年間でスタンドバイ信用状を使い、県内企業の現法向けに2件、計約2億円の融資をまとめた。神姫バスの現法にも、資金需要に応じて働きかける方針だ。

 海外での資金調達に詳しい金融関係者によると、日系メガバンクの海外支店は大企業向けの取引が中心。過去10年ほどで進出が相次いだ中小企業に対し、資金調達の相談に応じる金融機関は手薄な状態という。

 堀本さんは「タイでもコロナ禍で顧客訪問ができないが、オンラインや電話で接点を持ち続け、収束後に拡大する資金ニーズをつかみたい」と話している。