ひょうご経済プラスTOP 経済 <地を担う>(11)株式会社・小池農園こめハウス(神戸市西区)

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<地を担う>(11)株式会社・小池農園こめハウス(神戸市西区)

2021.07.27
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立ち並ぶマンションを望む農地を耕すトラクター=神戸市西区櫨谷町池谷

立ち並ぶマンションを望む農地を耕すトラクター=神戸市西区櫨谷町池谷

神戸新聞NEXT

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■都市近郊生かし農業守る

 トラクターが進む農地の向こうに、西神ニュータウンのマンションが立ち並ぶ。神戸市西区の農業法人「小池農園こめハウス」の小池潤社長(43)は「地元に旬やおいしい作物を届けたい」と話す。

 実家は代々の農家。東京の大学に進み、関東での就職が決まっていた。卒業の直前、父に「農業は長男の宿命や」と説得され、就職を断念。卒業と同時に実家の農業に身を投じた。

 父や祖父から基本を教わりながら、コメを積んだトラックでニュータウンを回った。「おいしかったで」。消費者の近さを実感し、コメの自動販売機を導入した。数年は好調だったが、米価下落でスーパーの安いコメにはかなわなかった。

 無農薬や減農薬で育てたコメを直接届けたいと、思いついたのが「神戸米」の商標登録だった。だが、地名が使えずに悩んだ末、弁理士に相談した。図案でも登録できると知り、山や海の絵に「神戸米」と手書きしたイラストを作成。2010年に商標登録を果たした。直売イベントに参加し、神戸・三宮の飲食店にも自ら営業に回り、“ファン”の拡大に汗を流した。

 一方で、周囲の高齢農家からの耕作依頼は増えるばかり。就農時に3ヘクタール足らずだった農地は10倍を超える38・5ヘクタールにまで広がった。家族だけで作業を請け負うには限界があり、16年前から社員とともに農地を担う。

 生産と直売の両立のため、大阪の米穀店を巡って売り方を研究。毎週火・金曜は農業を社員らに任せ、小池社長は車で飲食や米穀、酒販店、個人宅計約100カ所以上を回り、耳を傾ける。「消費地が近い神戸の農家だからこそできることがある。食べる大切さや農業の実態を伝え、理解してもらえる環境を築いていきたい」。(山路 進)