ひょうご経済プラスTOP 経済 <地を担う>(12)農事組合法人・十倉営農組合(三田市)

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<地を担う>(12)農事組合法人・十倉営農組合(三田市)

2021.09.28
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黒大豆オーナー制度で貸し出す農地の草を刈る十倉営農組合のメンバーら=三田市十倉

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■ブランド作物で農業体験

 三田市北東部の十倉地区。羽束(はつか)川沿いにある同地区の29戸でつくる農事組合法人十倉営農組合は、一帯に広がる甲子園球場の5倍を超える22ヘクタールの農地を預かる。

 トラクターなどで作業をしやすくしようと、農地を拡張するための区画整備が1986年に完了した。だが、農家の継承は思うように進まず、不耕作地の発生が懸念された。そこで2004年に集落営農組織を設立。一帯の作付けを計画し、大型農機での効率的な耕作に転換した。さらに地域の農地を担う立場を鮮明にするため、14年に法人化し、収支などの会計管理も進めてきた。

 生産する全てのコメは、冬場に田んぼに水をためたり、冷え込みで凍った農地を耕起したりして雑草の発生を抑え、農薬や化学肥料の使用量を減らしている。16年には市内の他地域やJA兵庫六甲と、環境創造米ブランド「奥三田」として出荷を始めた。通常より粒が約1割大きく、食味の良さから地元や神戸の飲食店から高い人気を得る。

 さらに転作作物として、黒大豆「丹波黒」や白大豆などを導入。都市住民向けに黒大豆の生産や収穫を体験してもらおうと約15年前に栽培オーナー制度を始めた。農業体験の魅力と黒大豆枝豆のおいしさが口コミで広がり、今では毎年250人余りが集まる。地域のイベントとしてだけではなく、安定的な収益源となっている。南義美組合長(68)は「駐車場やトイレの整備、栽培指導の準備などで大変だったが、取り組んできて良かった」と振り返る。

 それでも作業の中心的な担い手はいずれも65歳を超える。南さんは「農地が荒れると地域が廃れる。地域の40、50代に農地を守る意義を伝えなければ」と力を込めた。(山路 進)