ひょうご経済プラスTOP 経済 <地を担う>(13)農事組合法人・豊倉町営農組合(加西市)

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<地を担う>(13)農事組合法人・豊倉町営農組合(加西市)

2021.10.26
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酒蔵が望む品質を目指し育てた酒米山田錦の収穫風景=加西市豊倉町

酒蔵が望む品質を目指し育てた酒米山田錦の収穫風景=加西市豊倉町

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■酒蔵、飲食店と連携図る

 兵庫県加西市豊倉町の田んぼで今秋、神戸などの酒蔵や酒販店、飲食店の従業員らが鎌を手にイネを刈った。農事組合法人豊倉町営農組合は3年前から、取引先向けの体験会を開く。

 「田んぼはうちのショールーム。コメを届けるだけでなく、どんな場所で、どんなふうに作っているかを伝えられる」と田中吉典組合長(54)。「都会の人には貴重な体験。酒蔵や酒販店、飲食店も客へのアピール材料になるはず」と意義を語る。

 同町では1991年、農地の区画整理が完了。集落営農組織を経て、兼業農家が多い地元の農業を守ろうと2012年、同法人を立ち上げた。減反政策を受け、年ごとに食用米と麦を育てる農地を替えながら、ほぼ全量を地元JAに出荷していた。

 米価が下落する中、食用米だけでなく、北播磨特産の山田錦をはじめとした酒米づくりに力を入れた。生産も同じ農地で同じ作物を育て続ける方式に変更し、土壌を分析し不足する養分を補う形に改めた。酒蔵が造りたい酒に合わせた土作りや品種選び、生産法を追究する。

 生産性向上には、田植え機などの機械を大型化するとともに、ドローンも使う。農薬散布に加え、上空から撮影した農地の画像を解析し、肥料をまく量を調節する新技術も取り入れる。

 冬から田んぼに水を張り、微生物の力を生かした栽培にも取り組む。食用米では、水田にも飛来する白鳥の名を冠したブランド米「白鳥の米(まい)」を生産。食品かすなどからできた有機肥料「消化液」も活用する。

 田中組合長は「コメや日本酒の文化は、実需者の酒蔵や飲食店ももうからなければ守れない」と話す。「もうけた利益を地域に還元し、集落一体で農業を守り続けていきたい」と力を込めた。(山路 進)