ひょうご経済プラスTOP 経済 地域にこだわり酒造り 姫路の地酒「龍力」の本田商店社長・本田龍祐さんに聞く

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地域にこだわり酒造り 姫路の地酒「龍力」の本田商店社長・本田龍祐さんに聞く

2022.01.22
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「テロワールの第一人者になりたい」と話す本田龍祐社長=本田商店

「テロワールの第一人者になりたい」と話す本田龍祐社長=本田商店

酒造りに使う酒米・山田錦の最上級産地の土壌を展示したテロワール館=本田商店

酒造りに使う酒米・山田錦の最上級産地の土壌を展示したテロワール館=本田商店

 兵庫・姫路の地酒「龍力」で知られる本田商店(兵庫県姫路市網干区高田)が昨年10月1日、酒造りを始めて100年の節目を迎えた。「日本酒の日」でもあった同日、5代目蔵元として本田龍祐さん(42)が社長に就いた。コロナ禍に伴う酒席の制限、自粛など厳しい環境でのかじ取りを担う。先々代や先代がまいた種をどう育て、さらに「龍祐カラー」を加えていくのかを聞いた。(段 貴則)

     ◇

-新型コロナウイルスの猛威が続く

 「コロナ禍で売り上げが前年同月比で7割減だったことも。本当に酒が社会に必要なのかと悩みもした。大きな転換点だからこそ、新しい価値を生み出していく時代。本田商店では3代目、4代目が少しずつ種をまき、価値観の幅を広げてきた。私なりの独自性を加えながら、小さな芽を育てていくのが使命だ」

-具体的には

 「一つは、2年前、土壌研究の成果を紹介するテロワール館を酒蔵に併設した。3代目が始め、酒米を生み出す土壌と酒の味わいの関連性を調べている。テロワールはワインの本場フランスで、産地の地形や土壌、気候などを総称する言葉だが、その解釈はさまざまある。私は、その土地に根付いているもの、芽吹くものという意識。播州弁もそうだし、播州で暮らす人の人情もその一つだ」

 「『こういう酒を造りたければ、ここの土地の酒米を使う』と、土壌の特性を見抜き、地域にあった酒造りを追求していきたい。土壌を研究し、地域にこだわった酒を造り、地元の人がよそで姫路の話、自慢ができる酒としたい。それこそがテロワールを意識した酒造りだと思う」

-昨年末には、姫路城前に熟成古酒専門店も出した

 「4代目も私も、熟成に向く酒を研究してきた。吟醸酒は白ワインに似て魚に合う酒だが、肉に合う熟成古酒も必要。赤ワインにあたる日本酒を造りたい。『神戸ビーフには赤ワインだよね』と言われるより、『やっぱり兵庫の日本酒、特に熟成古酒がいいよね』と言われたい。専門店が、観光客にとって姫路城周辺の魅力アップにも役立てば」

-老舗として変えない点は

 「新しい価値を生み出すため、さまざまな挑戦をしていくが、うちの酒造りの根幹である『米の酒は米の味』という理念は変えない。醸造技術は時代とともに変わり、絶えず腕を磨く一方で、良い米を使い続けるという素材へのこだわりを緩めるつもりはない」

【ほんだ・りゅうすけ】1979年姫路市生まれ。東京農業大学で醸造を学び、2002年、本田商店に入社。酒造経営のコンサルタント会社・地酒の杜センター出向を経て、04年に本田商店へ戻った。12年に専務、21年10月にトップへ昇格し、5代目蔵元となった。

【本田商店】1921年、龍力の醸造を開始。76年には業界初となる搾りたての生酒「蔵出し新酒」を発売。92年から、使用する原料米の全てを酒造好適米とした。2020年、土壌研究の成果を紹介する「テロワール館」を同社酒蔵に開設した。