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<地を担う>(15)ナカバヤシ兵庫工場(養父市)

2022.01.25
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昨年春に収穫、冷蔵保存したニンニクを袋に詰める従業員。袋の印刷も自社で担う=養父市大屋町大屋市場、ナカバヤシ兵庫工場大屋にんにくセンター

昨年春に収穫、冷蔵保存したニンニクを袋に詰める従業員。袋の印刷も自社で担う=養父市大屋町大屋市場、ナカバヤシ兵庫工場大屋にんにくセンター

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■祖業の閑散期営農で補う

 アルバム大手ナカバヤシの兵庫工場(兵庫県養父市)は、近くの畑でニンニクを育てている。小谷英輔工場長(64)は「祖業である製本加工を農業で守っている」と言い表す。

 同工場は、国会をはじめとする図書館の雑誌や論文、行政文書などを数冊ごとにまとめてハードカバーの1冊に仕上げる。国内で類がなく、大学図書館のシェアは8割以上。しかし需要は大学が長期休暇に入る夏と冬に集中し、春と秋は少ない。書籍のデジタル化も進んでおり、従業員約140人の閑散期の雇用維持が課題だった。

 2015年、養父市のニンニク産地化を目指すヤンマーから農業参入を持ち掛けられた。ニンニクは秋に植えて、春に収穫する。製本の繁閑期と真逆で、両立にうってつけだった。

 10年余り耕作されていなかった農地を借りて開墾し、同年秋から0・7ヘクタールで栽培、翌16年春に4トンを収穫した。

 さらに同年、国家戦略特区の同市の規制緩和を活用し、一部の農地を買い入れた。小谷さんは「農業をやる覚悟を示したかった」と振り返る。

 その後、農地貸し出しの申し入れが相次ぎ、21年は9ヘクタールで90トンを収穫した。農業専属は11人だが、収穫時は工場で製本する約25人も汗を流す。

 冷蔵庫や乾燥機を備えた加工施設を駆使して、通年出荷に努めている。市内の農家13戸が育てたニンニク25トンも集荷し、神戸の卸売市場や兵庫県内外の量販店に送り出す。B級品はおかきやソースの原料に転用して収益率の引き上げを図る。

 ニンニクの販売は、大阪本社の印刷物の営業担当社員が手掛ける。小谷さんは「会社を挙げた取り組み。ニンニクで地域も会社も元気にしたい」と力を込めた。(山路 進)