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「KONAN」の刺しゅうが入ったファミリアのオリジナルかばんを持って歩く甲南女子高校の生徒たち=神戸市東灘区森北町5
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「KONAN」の刺しゅうが入ったファミリアのオリジナルかばんを持って歩く甲南女子高校の生徒たち=神戸市東灘区森北町5
アップリケがかわいいデニムバッグ。持ち手がくたびれているほど“先輩風”?
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アップリケがかわいいデニムバッグ。持ち手がくたびれているほど“先輩風”?

 街で女子高生が手に持つ、クマやウサギ、女の子のアップリケで彩られたかばん。神戸市に本社を置く子ども服ブランド「ファミリア」のデニムバッグだ。補助かばんのようだが、兵庫県外出身の記者から見ると、少々かわいらしすぎるような…。ほかの地域では見かけない、神戸・阪神間の女子高生“御用達”。これほど愛されるかばんの秘密はどこにあるのか-?

 ファミリアの広報担当者によると、バッグは1957(昭和32)年の販売開始。60年を超えるロングセラー商品だ。そして実は「指定かばん」とする学校は一つも聞いたことがなく、特定の学校の生徒が熱烈に支持しているらしい。

 元々は小さな子どもがピアノのレッスンに行くのを想定して作られた。それが、女子高生の定番アイテムとなったのは、デニム生地のシンプルさにあるよう。「制服のワンピースに合わせやすいから」と口をそろえるのは、真っ白な夏服が有名な松蔭中学・高校(灘区)の生徒たち。同高校2年の岡西紗希さん(17)は「かばんも含めて『制服』という感覚」と笑う。

 副校長の芳田克巳さん(53)によると、同校では元々「補助かばんは手作りしたもの」と校則で決まっていた。時代とともに手作りの習慣が薄れ、生徒らは既製品の中でも、上品で手作り感の強いファミリアのバッグを持つようになったという。

 同校に娘が通い、自身の母も含めて3世代が松蔭生の高塚仁美さん(52)は70年代後半に在学。当時からほぼ皆がファミリアのかばんを使っていて、「松蔭といえばファミリアのイメージがあった。確か、甲南女子も持っていたはず」と振り返る。

 その甲南女子中学・高校(東灘区)は、ファミリア創業者の1人坂野惇子さんの母校。同校には「KONAN」の刺しゅうが入ったファミリアかばんが存在する。学校の購買部で販売され、8割以上の生徒が持つ。同校2年の戎谷綾華さん(17)は「制服で街を歩いていると、母親世代のOGの方から『ファミリアのかばん、懐かしいわ』と声を掛けられる」と話す。

 神戸の女子高生とデニムバッグの親和性。それを、神戸松蔭女子学院大の徳山孝子教授(51)=ファッション学=も裏付ける。「神戸の私立学校のように、ワンピースやジャンパースカートといった昔ながらの女性らしい形の制服に合わせやすいんです」と説く。

 神戸は物作りを大事にしてきた土地で、流行の品より、1点もののオートクチュール品を選ぶ傾向があるという。「手作りの温かみがあるファミリアのかばんが長年愛されるのは、その現れではないでしょうか」と徳山さん。

 ちなみにこのファミリアかばん、一部の生徒の間では新品のきれいな状態よりも、少しくたびれている方が「先輩っぽくてすてき」なのだとか。何気なく目にするあのかばんも、一つのものにこだわりと愛着を覚える神戸文化の象徴なのかもしれない。(勝浦美香)

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