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常連客たちに惜しまれながら閉店という区切りを迎える「ひつじ書房」と店主の平松二三代さん=神戸市東灘区岡本1
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常連客たちに惜しまれながら閉店という区切りを迎える「ひつじ書房」と店主の平松二三代さん=神戸市東灘区岡本1

 神戸市東灘区の岡本で40年以上愛された小さな児童書専門店「ひつじ書房」が3日、閉店する。「子どもがいい本と出合える場に」。店主の平松二三代さん(86)は開店当時から変わらない思いを持ち続けるが、高齢になり「閉めなくちゃいけない気がした」とつぶやく。大好きな絵本に囲まれた店を畳み、一つの区切りを迎えようとしている。

 ひつじ書房は平松さんが図書館の司書として勤務していた42年前、夫とともに開いた。ポリシーは、目に付きやすい派手な本や売れ筋の本ではなく、言葉にこだわって選んだ本だけを置くこと。「ここに来たらほしい本が見つかる」と信頼されるようになった。

 子どもが本選びに迷っている時は「読んであげようか」と声を掛ける。「みんなじっくり聞いて、その本を好きになってくれた」と振り返る。「本を読むとすてきな人に出会えるし、いろいろな経験もできる。視覚的な楽しさだけでなく、想像する楽しさをもっと味わってほしくてね」

 定休日の30日、店の片付けに訪れた平松さん。閉店のうわさを聞いた人たちが顔を見せた。東灘区本山北町の主婦(61)は、40年来の常連。横浜で暮らす子どもから連絡を受け、孫のクリスマスプレゼントに本を買いに来たのだという。絵本や作家の話を教えてくれる平松さんを「先生」と慕ってきた。

 閉店を惜しむのは常連客だけではない。地域で愛され、刻んできた時間。近くの岡本商店街の商店主らは最終日の3日、心のこもった「お別れ会」を開く。

 店内にはクリスマス用に仕入れた絵本も並ぶ。手に取ると「まだ閉めたくない」という考えも浮かぶという平松さん。「高齢でほかに何ができるかしら。私にできるのは絵本に携わることだけ」と複雑な心境をのぞかせた。(勝浦美香、段 貴則)

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