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音楽祭の締めくくりに「みえない翼」を歌う6年生たち=こうべ小学校
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音楽祭の締めくくりに「みえない翼」を歌う6年生たち=こうべ小学校
歌いながら後ろに下がっていく=こうべ小学校
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歌いながら後ろに下がっていく=こうべ小学校
最後に静かに幕が下りる=こうべ小学校
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最後に静かに幕が下りる=こうべ小学校
臼井真さん
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臼井真さん

 昨年11月、こうべ小学校(神戸市中央区中山手通4)の音楽会。低学年から順番にステージを終え、ついに6年生の出番がやってきた。数曲を演奏した後、子どもたちは神妙な面持ちで階段状の舞台に並ぶ。

 静かに歌い始める。

♪楽しかった 音楽会も この曲が ラストソング(略) みえない翼だけど 時間の壁を越えられる 音楽という 翼をかりて♪

 間奏では「練習でみんなの心が一つになった」「この音楽会を忘れません」。各自が声を張り上げ、卒業式さながらに思い出を振り返る。保護者席から、おえつが漏れる。歌いながら涙を流す子もいる。見ている記者も、親子の6年間を勝手に想像して目頭を熱くする。しかし、次の瞬間。その涙は半分乾いた。

 シャッ、シャッ、シャッ。

 歌いながら、全員が後ろ向きに、一糸乱れぬ動きで階段を上っていくではないか。まっすぐに前を見つめたまま…えらい器用やなと妙に感心。そしてラスト。

♪忘れない 忘れたくない 音楽会よ さようなら♪

緞帳に収まる範囲に全員が下がると幕が下り、大きな拍手が会場を包んだ。

 「みえない翼」。神戸市内の多くの小学校の音楽会で6年生が歌う、局地的な大ヒット曲だ。子どもたちは1年生の時に最上級生の姿に憧れ、自分が歌える年を心待ちにするらしい。

 魅力的な旋律と壮大な歌詞。作者はいったい誰? 調べてみたところ、また驚きが待っていた。神戸市の音楽教諭、臼井真さん(57)。阪神・淡路大震災復興のシンボルソングとして名高い「しあわせ運べるように」の生みの親だ。

 現在、高羽小学校(灘区)に勤める臼井先生を訪ねて話を聞いた。

 作詞作曲したのは教師3年目、1985年の夏。震災後に作った「しあわせ-」より古い。「角川映画『時をかける少女』などタイムトラベラーものが流行していた時代。大人になっても旋律を耳にしたら、一瞬で当時の音楽会に戻れる。そんな曲を作りたかった」

 熱い思いを楽譜と上司にぶつけ、同年秋に勤務先の志里池小学校(長田区、廃校)でお披露目。当初から評判で、震災のころには市内に浸透していたという。

 直接指導した児童たちのビデオを見せてもらった。退場のタイミング…あら、後ろではなく前に歩いていく! 「私は、こっちの方が客席との一体感があって好きなんですよ」。臼井先生は20年以上にわたり「前派」。前か後ろかは「指導教諭の好みや学校の伝統による」らしい。

 さらに、さらっと「実は3部作です」。なんと、6年生の出番が終わり、観客が退場する間に5年生が歌う「みえない翼の中で」、他に誰もいなくなった会場で先生たちが6年生に対して歌う「未来への希望の翼」もある。この2曲は同僚らのリクエストで2000年以降に生まれたが、あまり知られていないとか。

 臼井先生も定年まで、あと3年。「歌は時間を超えて、永遠に生き続ける。託した思いを今、若い先生に伝え始めています」。そう言って、にっこり笑った。(上杉順子)

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