神戸

  • 印刷
神戸ノートが陳列された店頭。観光施設「北野工房のまち」では、土産物としても取り扱われる=神戸市中央区中山手通3
拡大
神戸ノートが陳列された店頭。観光施設「北野工房のまち」では、土産物としても取り扱われる=神戸市中央区中山手通3
漢字の書き取りは百字練習帳で。宿題をする女児=神戸市長田区
拡大
漢字の書き取りは百字練習帳で。宿題をする女児=神戸市長田区
宿題や翌日の持ち物は「れんらくちょう」に記す。「百字2ページ」の文字も
拡大
宿題や翌日の持ち物は「れんらくちょう」に記す。「百字2ページ」の文字も

 変わらないもの。「神戸ノート」。神戸の小学生が使い続け、文具店のみならず、多くのスーパーが取り扱う。市外出身の人は、見慣れない色違いの表紙が並ぶ陳列棚に、面食らったことがあるはず。表紙に神戸市街の風景をあしらった、どこかレトロなノート。誕生から半世紀以上。神戸「専用」ノートとは-?

 昨年12月、長田区の自宅で、小学4年の女児(10)は「百字練習帳」に漢字の書き取りをしていた。宿題は「百字を2ページ」。百字練習帳は1ページに100マス。つまり漢字を2ページ分、200字を書く。百字帳が前提の宿題の出し方。ちなみに、先生に告げられた宿題を記す「れんらくちょう」も神戸ノートだ。

 見守る母(43)も小学生の時に同じノートで勉強した。娘に買い与えるのも神戸ノートで、「普通のこと」と迷いがない。れんらくちょうは一時、表紙のデザインがきらびやかな他社製に替えたが、「使いづらくて」と慣れ親しんだものに戻したという。

 昭和30年代前半に製作が始まり、全部で約20種類があるノート。神戸っ子の記憶では、入学時に学校でもらった人もいるはず。ただ、市教育委員会は「これまでに指定や推奨をしたこともなければ、学校から配ったこともない」と話す。では、どこが配るのか? 「PTAや地元自治会のお祝いのようだ」とのことで“定番”ぶりを示す。それを裏付けるように、「ジャポニカ学習帳」で知られる学習ノート最大手のショウワノート(東京)は「神戸は手に取ってもらう率が低い」と口調が硬い。

 一方、気になるのは、神戸ノートの“不変”の表紙。今はもう存在しない神戸の風景もあしらう。例えば、メリケンパーク整備前の中突堤のはしけだまりとポートタワーや、1985年のユニバーシアード大会で使われた競技場の聖火台などだ。

 多くの写真を撮影した人が兵庫区にいる。元文房具店主の高見佳男さん(87)。生産する「関西ノート」(長田区)から依頼を受けて、67~70年ごろに撮影した。どんな写真がいいのかを同社に尋ねると「任せる」と言われた高見さん。「神戸らしく残っていく風景を」と撮影場所を選んだ。当初は「写真を変えるときはまた撮ってほしい」と頼まれていたが、撮り直しの要請はなかった。「ずっと変わらない表紙が、結果的に定番になったのでは」とみる。

 そして、ノートは県外でも評判を呼んでいる。東京都三鷹市の「山田文具店」は9年前から神戸ノートを置く。神戸出身ではない30~40代の客が自分で使うために買い求めるという。売れ筋は百字練習帳と「二百字帳」で、担当者は「表紙にひかれて『ジャケ買い』するのでは。リピーターも多い」と話す。

 その二百字帳が実は、昨年春からリニューアルした。現在流通するA5サイズが廃止され、代わりに百字練習帳と同じB5サイズへと大きくなった。変わらないと思い込んでいたノートは少しずつ変化し、受け継がれている。(阪口真平)

 【神戸ノート】長田区の「関西ノート」が生産する小学生向けの学習用ノート。戦後で物が十分でなかったころ、教員から「安くていいノートを作ってほしい」との要望を受け、製作された。現在は約20種類あり、「さんすうちょう」と「算数帳」のように、算数や国語は学年ごとに対象のノートが分かれている。「音楽ノート」は五線譜が施され、「社会科」ノートの巻末には、本土の都市名として「神戸」と「東京」だけが記される白地図が付く。

神戸の最新
もっと見る

天気(12月17日)

  • 14℃
  • ---℃
  • 20%

  • 12℃
  • ---℃
  • 60%

  • 15℃
  • ---℃
  • 10%

  • 13℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ